なんでやねんDTP・新館

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文字組版演算の基本

文字組版に必要な演算が苦手という方が多いが、とりあえず簡単に基本的なことだけ……。
(図中の行送りの基準の表示はIllustratorの場合だが、その他の基本的な考え方はInDesignでも同じ)

  • 図中の字送りの矢印が文字のセンターからセンターを指していますが、写植時代はそれでもいいのですが、DTPでは文字の頭から次の文字の頭とするのが妥当です。トラッキングAdobeの和訳では“字送り”)などを考えても選択文字の後ろが調整され、その基本単位は選択文字の1/1000emだということと考え合わせると理解いただけるでしょう(送り量としては同サイズ同士では基本的に同じなのですが…異級数となると異なります)。(2016.09.30 追記訂正)


図とダブルが
ベタ組の場合
字送り方向の長さ、つまり行長は 文字サイズ×字数
行送り方向の幅あるいは高さは 文字サイズ+行送り×行間数(=行数−1)
で計算する。



ラッキングを使用した均等アケ組及びツメ組の場合
行長は 文字サイズ+字送り量×字間数(=字数−1)
で計算でき、その字送り量は
文字サイズ×(1000+トラッキング量)÷1000
で計算できる。



逆に、例えば20Qを字送り19Hで処理したい場合は、


上の式に当てはめて
19=20×(1000+X)÷1000
として、順に
19÷20=(1000+X)÷1000
19÷20×1000=1000+X
19÷20×1000−1000=X
つまり
X=19÷20×1000−1000=−50
となり、

        • -

ラッキング量=字送り量÷文字サイズ×1000−1000

        • -

という式で表される 求められる。
小数点以下は、マイナス値は切り上げ/プラス値は切り捨てるといいだろう。


なお、「字送り方向」を「字詰め方向」と表記する場合もあるし、「行高」を「行幅」と表記する場合もある。
InDesignではCS4から「行幅」という表記を「行高」と変更したようだ。参照頁


また、InDesignでは「環境設定_単位と増減値_ポイント/パイカの大きさ」のデフォルトで「PostScript(72ポイント/インチ)」(=DTPポイント)が設定されいるようだが、旧字体(72.27ポイント/インチ)」(=Americanポイント)もオプションで用意されている*1金属活字の大きさに合わせるにはイイのかも知れない(Illustratorには用意されていない)。


以下はオマケ(せっかく作ったので……)



(以下、公開当日15:12頃ほか追記
さらに蛇足だが……
上の文字組みはIllustrator上のテキストエリア内に作成したモノだが、エリアサイズを(一般的な)欧文ベースラインより下の部分に相当する(20Q×0.12=5mm×0.12=)0.6mm 少なくしても収まっている(11.25−0.6=10.65)*2。しかし、さらに0.002mm 少なくすると溢れてしまった*3



なお、テキストエリア内文字でない場合は、フォント自体のバウンディングボックス値が参照されるため、情報パネルや変形パネルの数値は計算通りとはならない(Wの数値は換算誤差?)。



参考頁:フォントのバウンディングボックスサイズ_Memo

*1:つい最近知った。twitter上での @koikekaisho さんの「ポイントはap? それともDTPpoint?」というご質問から……私はポイントを使わないので……

*2:InDesignではこの時点で既に溢れる

*3:0.001mmでは大丈夫だった