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Illustrator上のアポストロフィーについて簡単に……

Illustrator上のアポストロフィーの挙動について、簡単に説明した動画を作成した(後ろの方でInDesign上でのことにもほんの少しだけ触れている)。



もっと詳しく知りたい方は、以下の各リンク先をよく読んでいただければ、より理解は深まると思う(いずれもid:NAOIさんのページ)。


InDesignにおける引用符の謎の挙動についての文字コード的なまとめ

●引用符が全角かプロポーショナルかは、フォントによって異なる。Adobe-Japan1-5以降のCMapを採用しているフォントなら(レパートリはAdobe-Japan1-5でなくても)プロポーショナル、そうでなければ全角である。

InDesignにおけるシングル引用符の縦組み ※[ ]内は引用者の補足

●日本語組版において調整文字コンマや調整文字アポストロフィを使いたいというケースはあまりないだろう。インプット・メソッドで「かっこ」などを変換して入力できるのも、もちろんシングル引用符(U+2018/U+2019)である。ところがややこしいことに、InDesignIllustrator]の字形パネルをダブルクリックすることで入力できるのは、調整文字コンマや調整文字アポストロフィ[U+02BB/U+02BC]であって、シングル引用符(U+2018/U+2019)ではない。

Unicodeのアポストロフィとシングル引用符

Unicodeには、3つのアポストロフィがある(下図)。このうちU+02BC MODIFIER LETTER APOSTROPHEは、Adobe-Japan1-5以降のcmapを採用しているフォントでのみ利用できる。


以下の画像はリュウミンのPr6とProのともにウエイトはB。
上は入力したママの状態で、下は文字組アキ量設定を「約物半角」としてある。



  • 上下の相違は、(文字組みアキ量設定の違いによる)アポストロフィーの後ろのアキがあるかどうかという違い(下は後ろアキをベタとしたのと同じ)…24Qなので丁度半角分の3mmの差が発生している
  • 左右の相違は、アポストロフィーがプロポーショナルな字幅となっているか全角(和文)扱いとなっているかという違い(=CMapの違いによる)


強引にまとめてしまえば……
比較的新しいAdobe-Japan1-5以降のCMapを採用している書体の場合、
引用符はプロポーショナル字形(CID96)に後ろ括弧の(後の)アキ50%がプラスされた状態といえるので、後ろアキをベタとして本来の字幅にする必要があるということ。あるいは字形パネルでダブルクリックしてU+02BCに紐付けられた字形(これもCID96)を(強制的に)呼び出すことも可。

今回、偶然字形パネルでダブルクリックした際に望むモノになったので記事にしてみたのだが、(動画の中でも紹介したように)欧文書体ではその方法は無効なので*1、後ろのアキをベタにするしか方法はない……結局、文字スタイルなどで「後ろアキ=ベタ」のモノを作成/適用という手法が手っ取り早いのだろうと思う。

一方、概ねPr5書体(登場)以前*2の古いCMapを採用している書体の場合は、(字幅半角の字形の後ろに半角アキを抱えた)全角字形(CID671)が基本なので、後ろアキをベタとしても半角分ツメられるだけ。必要なプロポーショナルな字幅をもった字形ではないので、プロポーショナル字形(CID96)にする必要があると考えればいいだろう。
※共に後ろアキをベタにするということは文字組アキ量設定を一時的に無効にするという効果がある。


CMap関係のことについては以下を参照のこと。
CMapの違いについての資料を作った
CMapの系統図2011年版

*1:U+02BCに紐付けられた字形がないということ

*2:特に調べる必要は感じないが、モリサワのPr5書体とフォントワークスの筑紫明朝体Proの登場は時期的にそんなに離れてはいないという記憶がある…つまり、Pro書体でも発表当初から新しいCMapを採用していたということである。またヒラギノ明朝と小塚明朝については説明の要はないだろう