なんでやねんDTP・新館

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「ベタ組(み)」アンケート結果

ひとつ前の記事で実施したアンケートの結果を公開します。
2014年03月28日現在、282 382名の方がお答えくださいました(私も答えましたが…)。

アンケート内容は以下の通りです(別画面に開きます)。

スタート画面 / 1問目 / 2問目 / 3問目 / 4問目 / 5問目 / 6問目 / 7問目

アンケートの結果は以下の通りです(記入項目である5問目と7問目は割愛)。
※回答を分析すべきかとも考えましたが…全回答のエクセルファイルを共有します。
beta-report_20140328.xls 直

●1問目(三者択一)

  • 54%の方が(B)を選択し、(A)の36%を加えると90%に達します
  • 下の2問目(A)・3問目(B)・4問目(C)と同じ組み方を仮想ボディを表示せずに選択肢としました
                • -

●2問目

                • -

●3問目

                • -

●4問目

  • 77%の方が「ベタ組ではない」と認識されています
                • -

●6問目(三者択一)

  • 多くの方が(B)を選択しています
  • 上の2問目(A)・3問目(B)・4問目(C)と同じ組み方を仮想ボディとアキを表示して選択肢としました

●まとめ(のようなもの…)
冒頭のスタート画面に記したアンケートを実施しようとしたきっかけは、以下のtogetterの纏めをご覧ください。
Adobeアプリケーションの「ベタ組」に関して

アンケート結果にあるように多くの方は、(約物が連続した部分の処理は別にして)約物を含めて「全角=文字サイズ」で文字を並べることを「ベタ組」と認識しているようです。
ただし、どのような認識であれ、そのことがそれぞれの作業環境のなかで共通した認識であり、齟齬なく同様な状態を意味する用語としてお互いに通じるのであれば特に大きな問題ではないでしょう。

しかし、(その各自の認識とは別に)頭に入れておかなけらばならないのは、AdobeDTPアプリケーションは『日本語文書の行組版方法』(JIS X 4051: 1995)*1に準拠していると謳っていることです。
Illustratorヘルプ/日本語の書式設定/文字組みの使用
InDesignヘルプ/CJK文字の組版/文字組みの使用

そして、その定義・規定は以下の通りです。

●定義部分

  • 『日本語文書の組版方法』(JIS X 4051: 2004)より*2

●行組版規則

  • 『日本語文書の組版方法』(JIS X 4051: 2004)より
  • 「読点類」は「終わり括弧類」に含まれます

簡単に言えば、(区切り約物を除く)始め及び終わり括弧類・句点類・中点類などの字幅は半角として並べるのが「ベタ組」*3であり、そこに適切な「空き量」を加えて行を組み上げるということになります *4。もちろん、約物が連続する場合や、行頭・行末での規定もあります。

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「ベタ組=アキなし」に「空き量」を添える…その「空き量」は行長調整に使用する場合もある…AdobeDTPアプリケーションにプリセットされている「文字組みアキ量設定」でも「ベタ」を%表示にすると「0%」となっています。
いわゆる半角約物類などの設定値をみてみると、最小値は「0%=ベタ」となっていますが、最適値では「50%アキ」を加えて「全角取り」としているワケです*5。つまり長調整の必要が生じた際には「0%=ベタ」までツメルことを許容するが、原則的には全角取りとすると設定してあるということです。これらは、概ねJIS X 4051に準拠した設定といえます。*6

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私の例でいえば、InDesignを触り始めた頃に「文字組みアキ量設定」を覗いた際に「ベタ=0%(アキ)」となっていることに驚いたモノでした(心の中では「InDesignは間違っている」…と)。手動写植機を打っていた経験からすると「ベタ打ち」というのは、すべて「全角=文字サイズ」で送ることだと認識していましたから(もちろん、約物が連続する場合は処理しますが、それは「ベタ打ち」とは呼んでいませんでした)*7。「ふーーん、そうなの」と認識を改めなければなりませんでした…InDesignIllustratorに向き合う際には…。

このように、きっかけとなった掲示板の質問者の誤解の例にみられるように、AdobeDTPアプリケーションの「アキ量」をコントロールするには、約物類の字幅を「半角」として)「ベタ組=アキなし」という『日本語文書の行組版方法』(JIS X 4051: 1995)の定義に準拠しているという認識・理解が大切です。

逆に、『日本語文書の行組版方法』(JIS X 4051: 1995)の定義が一般に認識されていない現実に鑑み、Adobeさんが一歩譲って 「ベタ」を「アキなし(0%アキ)」などと用語の再検討してくだされば… ユーザーは喜ぶでしょうね。

*1:現行は2004年に改正されて『日本語文書の組版方法』(JIS X 4051: 2004)となり、「行」の文字が削除され、その対象は(行組版だけでなく)版面や頁組版にまで拡張されています

*2:ここに挙げた部分では、1995版と大きな差異はありません

*3:JISでいうベタ組は隣接する2文字間のことを指しており、3字以上の文字列に対して「ベタ組」という用語は使わないようです

*4:それは行頭・行末揃えのための行長調整が不要であれば、結果的には問い3同様=Bの状態です

*5:最大値も50%となっています。これは全角取り以上には字間を延ばさないというJIS X 4051の規定に準拠したものといえますが、InDesignにはバグがあり、設定値通りの組み上がりにはなりません→参照(4つ目)

*6:「行組版規則」の句点類の後の空きを規定した部分には“原則として”という文言はありません…つまり行長調整には使用しない=二分アキ固定(50%アキ固定=全角取り固定)となっています…しかしAdobeアプリにプリセットされている「文字組みアキ量設定」では「最小値=0%」となっており、「ベタ=アキなし」までツメルことを許容していますので、厳密には準拠しているとはいえません

*7:この辺り、私の廻りだけに通じる用語かも知れませんが。また、いわゆる本文組みを約物を含めてすべて「全角=文字サイズ」で送る意味での「ベタ打ち」で印字することはまずありませんでした。用例でいえば、手ヅメ前提のキャッチなどが主なモノでした…後期の手動写植機には搭載されたディスプレイ画面もなければ、最小駆動単位も1歯の時代…デザイナーはサッサと印画紙が欲しかったのでしょう