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JIS例示字形変更と字形セット_01

フォントワークスからも筑紫明朝体のPr5のシリーズがリリースされ、書籍組版において、常用・人名漢字以外は「いわゆる康煕字典体」を使用することを基本とする場合に、InDesign上では印刷標準字形(CS3では「体」らしいが)を使用できる環境が整いつつあるが、イワタオールド明朝体などPr5未満の書体ではまだまだエキスパート字形の流用が必要と思われる。


これから数回にわけて、段落スタイルなどで詳細文字形式/異体字でエキスパート字形あるいは印刷標準字形を設定する場合を想定して、両字形に焦点をあててJISの例示字形の変更点を中心にみていくことにする。
字形・字体にこだわる方は私の思うほど多くはないのかも知れないが、何らかの参考になれば幸いである。但し、フツーの組版屋のオジン*1の気付いた点を書いているだけのもの、漢字の専門家・研究者などではないので間違い・誤解などあればご指導賜りたい。


環境はOSX10.4.11、InDesign_CS2(ver.4.0.5)。
使用フォントは筑紫明朝体のPr5-L。
※文中の丸括弧内の数字はCIDを表す


●83JIS_人名がらみの4組8字
尭槙遥瑶 堯槇遙瑤



これらは81年の人名漢字の追加をうけて、83JISで従来のコードに「いわゆる拡張新字体」の人名漢字を入れ、元の字体は第二水準に別コードを新設・移動されたものだが、何故か78字形も含めて問題なかった。
すくなくとも78字形は左側も右側と同じになると思っていたのだが……。


「堯・槇・遙」については2004年に人名漢字に追加され、人名漢字の「1字種1字体」の基本原則が通用しなくなったと思われ、どちらを採用するか悩むところだ。
詳しくは、人名用漢字別表の変遷人名用漢字_2004年9月27日改正から生じる疑問などを参照されたい。


●83JIS_入れ換え22組44字
※( )は83入れ換えと変更、〔 〕は04で変更
鯵鴬蛎撹竃潅諌頚砿蕊(靭)賎壷砺梼涛(迩)蝿桧侭薮篭
鰺鶯蠣攪〔竈〕灌諫頸礦蘂〔(靱)〕賤壺礪檮濤(邇)〔蠅〕檜儘藪籠



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これらは83JISで第一水準と第二水準を入れ替え、一部は字体も変更されたものだが、78字形は歴史の事実通りに入れ替わってしまっている。
基本的に右側の字体のコードにテキスト段階で変換しておけば問題ないが、expt字形の「邇」は何故か78字形と同じになってしまっているので要注意
nlck字形の青地色(04変更部分)はexpt字形には反映されていないので注意が必要だが、「靱(13624)」は筆押さえの有無だからいいとしても「竈(20285)」と「蠅(20295)」はPr5以上でないと表示できない。


「表外漢字字体表」の筆押さえに関しては、NAOIさんの表外漢字字体表のヒゲ政策がダメな理由に詳しい。また「表外漢字字体表」の字形全般については「明朝体・考」さんの表外漢字字体表の「字形問題」と題する一連の記事も一読をお薦めする。

*1:友人の間ではこう呼ばれている。本名は古くからの友人以外は殆ど知っちゃあいない