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中付きルビ_親文字間の調整

InDesignのルビ設定はほとんどカスタマイズすることなく使っているが、中付き3字ルビの場合には前後の文字種によっては微調整が必要になり、苦労していた。
が、それについて新しく判ったこと(今まで知らなかったこと)。


「ルビの位置と間隔」は「モノルビ/1-2-1(JIS)ルール」とすると、デフォルトの設定では以下のようになる。



3字ルビが仮名にしかかかってくれないので見栄えが悪く、大抵は「文字かけ処理=なし」にして、以下のように組んでいた(仮名にもルビが掛からない、手間の関係もあるがこれがベターだと思っていた)。



しかし、「文字かけ処理=無制限」にしてさらに「親文字間の調整=調整しない」にすると以下のように組める。



他の設定も色々探ってみたが、「文字かけ処理=なし」以外では「文字かけ処理=無制限」「親文字間の調整=調整しない」にすることによってのみ親文字とルビの位置関係がセンターで固定される
さらに親文字の前後にアキを設定してもその関係は変わらないので、右の4つ親文字の後ろアキを四分アキとすることで、以下のようになる。



こういう挙動が判れば、「文字かけ処理=無制限」/「親文字間の調整=調整しない」としても1字や2字の場合は特に気にする必要はないので、基本的な設定をコレにして、3字ルビの部分のみ前後の文字種によって「ルビかけ」のルールに従ってアキを設定してやる……ということでイイのかも知れない*1


「ルビかけ=無制限」は例の幼促音にルビが掛からないバグ*2を回避するために使うことはあるのだが、「親文字間の調整」は触ったこともなかったというお粗末な私である。
いつぞや書いたトリッキーな方法なんぞはこれさえ判っていればもう不要である。


尚、この件は著者さんからいただいたInDesignデータを書体を変更して組み直すという、現在進行中の案件からヒントをいただいた。
※今は書けないが、著者は校正関係の方で参考になることが多々あった。


(以下、091023追記
脚注の1について著者の大西寿男さん(ぼっと舎)に編集者を通じてメールでご教示を仰いだところ丁寧なお返事をいただいた。
ブログでの引用の可否をお尋ねしたところ、ご快諾いただいたので一部を引用させていただくと*3

ルビが親文字よりはみ出すときの処理は、出版社各社によってちがいますが
(同じ社でも、部署によって異なったりします)、
中付きのばあい、
・熟語内では、ルビ二分まで他の漢字にかけられる
・ただし、熟語外の漢字にはルビをかけない
は、基本的に採用されています。

ということで、ごく一般的な処理であるということらしい。
調べてみると日本エディタースクール編『標準 校正必携(第七版)』にも、同様の記載がある。
まだまだ理解不足・勉強不足を痛感した次第。

*1:一般的には、作例で上の漢字にルビが掛かっている部分はルビの親文字の前にも四分アキを設定しなければならない。これを見逃してしまう危険性は大いにあるし、行頭・行末の処理には気を付けなければならないのは言うまでもない。尚、3字ルビと1字ルビの関係(3字ルビが後続の親文字に半分かかっている)についてはコレを許容するルールがあるのは既知のことだが、それが一般的であるかどうかは不勉強なので判らない。このヒントをいただいた校正のことを書いた書籍では許容

*2:参照→その1その2その3

*3:改行位置は変更させていただいた。他にもルビに関して色々ご教示いただいた