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「行送りの基準位置」と「グリッド揃え」_再考

InDesignには「行送りの基準位置」「文字揃え」「グリッド揃え」という設定項目があるが、その各項目の意味するモノ及びその関連について知らずして思い通りの組版は望めない。
当ブログでは、以前にも何回か取り上げたことだが、重要なことなのでアプローチを変えて再び記しておく。


まず、「行送りの基準位置」を判りやすく説明するために、「文字サイズ=20Q/行送り=20H(ベタ)」で下のようなテキストフレーム内の文字組み用意した。



この2行目を15Q、3行目を10Qに変更してみると……



ご覧のように「行送りの基準位置」の設定によって、文字の位置は大きく違いが出来る。


しかし、一見すれば判るように何も難しく考える必要はなく、「行送りの基準位置」の設定を
「仮想ボディの上(右)」とした場合は、当該行の下(左)に「文字サイズと行送りとの差」がアキとして発生し、
「仮想ボディの下(左)」とした場合は、当該行の上(右)に「文字サイズと行送りとの差」がアキとして発生すると考えればイイし、
「仮想ボディの中央」とした場合には*1当該行の上(右)に「その行と前行の文字サイズの和の1/2と行送りとの差」がアキとして発生すると考えればイイ。
※例の場合、20Q*2=40Qを15Qと10Qに変更したので、それぞれにアキは40−25=15Q分発生している。


「行送りの基準位置」を「仮想ボディの中央」とした場合は計算が面倒だが、要は何処にどれだけのアキが発生するのかを把握・理解していれば大丈夫。
※この挙動を理解せずして「行間アキ」を基準にした組版は不可能である。


一般的に考えれば、仮想ボディの上(右)とした方が判りやすいだろうが、私の場合は基本的に仮想ボディの中央を選択している。*2


この状態で、例えば「仮想」部分を15Qに変更しても……



行中の最大文字サイズである15Qを基準に再描画されるだけで、「ボディの」部分との揃え方は「文字揃え」の設定に依存する(例の場合は「仮想ボディの中央」)。


さらに、上の状態のテキストフレームを「文字サイズ=20Q/行送り=30H」のフレームグリッドに変換し、「グリッド揃え」の設定を色々変更してみると……


  • 画像が間違っていたので差し替え(右端の各2行目15Q部分の改行マークが20Qとなっていたためグリッド揃えが不正に見えていた→コレ

「行送りの基準位置」というより「行送り=20H」という設定そのものが「グリッド揃え」によって打ち消され、その設定に依拠しているのが判るだろう*3


この2・3行目を「グリッド揃え=なし」にすると……



「行送りの基準位置」と「行送り=20H」が生き返って反映されているのが見てとれる。
この状態で、1行目の行送りを変更しても……(20Hから21Hに変更してみた)



影響が出るのは、上で確認した通り「当該行の下(左)にアキが発生する」とした「行送りの基準位置」の設定を「仮想ボディの上(右)」にした場合だけであるのが判る。


さらに2行目の行送りを変更した場合は……(20Hから30Hに変更してみた)



何処にどれだけのアキが発生するのかは理解出来ると思う(例の場合は元のアキに+10H分のアキ)。
※2・3行目は「グリッド揃え=なし」としているので当然その影響はないことにも注意


こういう挙動の原理が理解出来ていれば、フレームグリッド内でも「グリッド揃え=なし」としてグリッドに支配されない(「行間アキを基準」にした)組版も容易になるだろうし、逆に理解していないと指定通りのアキを確保するのは難しい


なお、「欧文ベースライン揃え」という設定も可能だが、私の場合は基本的には採用しない。その理由についてはIllustratorでの文字組_その3_「行送り」補足と題する以前の記事の後半に書いたことと同様、その演算は煩雑すぎるが何のメリットもない


以下に当ブログ内の関連頁を掲げておく
横組みでの文字揃えの選択
「行送りの基準位置」と「文字揃え」_おさらい
「グリッド揃え」と「行送りの基準位置」_おさらい
Illustratorでの文字組_その2_「行送り」と「文字揃え」
フレームグリッド内の「グリッド揃え=なし」
「行取り」及び「段落行取り」と「行送りの基準位置」

*1:1行だけ選択した状態で行送りを変更してみると判ると思うが

*2:理由は、写植を打っていた頃の計算のクセが付いてしまっているのに加え、ほとんどの作業をフレームグリッドで行うため

*3:この場合も基準は行中の「最大文字サイズ」