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Illustratorの [標準文字スタイル] は「文字スタイル=なし」

ややフライング気味ですが、明日2014.09.27発売の+designing vol.38と同時に公開され、ダウンロード可能になるファイル群があります。
そこにはIllustrator用のカスタマイズ済み段落スタイルを組み込んだファイルもありますが、その過程でIllustratorの [標準文字スタイル] について、新たに理解できたことを記しておきます(普段はあまりIllustratorで文字組みをしないので…)。

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公開ファイルには、ツメ組み用とベタ組み用の段落スタイルをセットし、それぞれ文字サイズと書体を変更し、その他(私の考える)それぞれに適切な設定を適用するようにしてあります(禁則処理セットも含んでいます)。
※その設定内容はダウンロードファイルをご参照ください(ダウンロードフリーのハズです)。

上のように段落スタイルを適用しても文字スタイルは [標準文字スタイル] となったママですが、当然ながらカスタマイズしたものはその設定内容とは異なります(この [ ] 付きなのがミソなのでしょうね)。
※CS6では異なりますが、検証したCC 2014では文字には必ず [標準文字スタイル] があたります。

ここで「12Q+マゼンタ」と「12Q」の文字スタイルを作成し、中黒と「システム」に適用します。

  • カスタマイズした段落スタイルの文字揃え=横:欧文ベースライン、縦:仮想ボディの中央

この新たに適用された文字スタイルはメニューから「標準の文字スタイルに戻す」を適用しても元には戻りませんが、[標準文字スタイル] を適用すると元に戻ります……つまり [標準文字スタイル] を適用することは「文字スタイル=なし」と同等と考えらます。

標準段落スタイル(や適用されない [標準文字スタイル])の設定は工場出荷時の設定なのでしょう。ともにカスタマイズは可能ですが、異なる設定のファイル間でのコピー&ペーストなどを考えると、触らない方が無難でしょうね。
初期状態では [標準文字スタイル] を書き換えると「標準段落スタイル」も書き換わるようですが、明示的に相反する設定を行うと「標準段落スタイル」が優先されます([標準文字スタイル] を適用しても変化はありません)。
なお、適当に設定を変更した段階で段落スタイルを新規に作成すると、標準段落スタイル(工場出荷時設定)との差分のみが書き込まれるようです。

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上記のやや複雑な関係を纏めますと……
工場出荷時の文字と段落の基本的な設定があり、それが「標準段落スタイル」と [標準文字スタイル] に反映されています…
「標準段落スタイル」の空欄は [標準文字スタイル] に拠るので、 [標準文字スタイル] に変更を加えると「標準段落スタイル」も変更されます…
但し、「標準段落スタイル」の方で「文字属性」に変更を加えると「標準段落スタイル」が優先されます…
さらにそれらよりもカスタマイズした(空欄を埋めた)独自の段落スタイルが強く、さらにカスタマイズした独自の文字スタイルが強い…
この文字スタイルを解除するには [標準文字スタイル] を適用すればよい……
というようなことになります。
どちらにせよ、「標準段落スタイル」や [標準文字スタイル] のカスタマイズは怪我の元ですので……

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少し話は変わりますが、割りと重要な話です……
Illustratorのデフォルトの「文字揃え」は以前のバージョンから使い勝手が悪いモノでした。
横組みは「仮想ボディの中央」で、縦組みは「欧文ベースライン」となっていますので、異級数混植の横組みを縦組みにすると当然センターがズレルということになります。
最新のCC 2014でも改善されてはいませんが、本来なら縦組みの「文字揃え」は「仮想ボディの中央」とすべきでしょう。

  • 標準文字スタイルの設定(横:仮想ボディの中央、縦:欧文ベースライン)

公開した段落スタイルの設定では、この部分も以下のようにカスタマイズしてあります。
※この文字揃えを縦/横で切り替えることは段落スタイルでしか設定できないのだろうと思われます。

  • カスタマイズした段落スタイルの設定(横:欧文ベースライン、縦:仮想ボディの中央)

先の新たな文字スタイルを適用した時点で縦組みに変更すると、カスタマイズが効果を発揮しているのがわかります。