なんでやねんDTP・新館

はてなダイアリーから移行しました…

縦組み本文中の英数字の処理

縦組み本文中の算用数字などの処理について簡単に私の考え方・方法を記してみることにします(環境はOSX上のInDesign CS6)。
※なお、合成フォントの場合は少し事情が変わってきますので、稿を改めます(後日)した…右記を参照ください。→ コレ

  • なお、本文中に「全角入力数字」とか「全角数字」とかという用語の混乱(?)が見られますが、「誤読を避けるため」とご理解くださいませ

まず、以下のように入力し、字形パネルメニューから各字形を適用して、それぞれの書体の数字の字形を確認してみました。


  • 全角入力数字は「等幅全角字形」と、半角入力数字(英数字)は「プロポーショナル字形」と同一であることがわかります

次に、それぞれを重ね、さらにサイドベアリングを削除してみますと……

右端のように、セットされた「字送り幅」は無視して「実際の字幅」のみを比較した場合、幾つかのパターンに分類できるようです。その例を掲げておきます。

つまり(上から)、
等幅半角字形とプロポーショナル字形(半角入力数字)が同じ、
等幅全角字形(全角入力数字)とプロポーショナル字形(半角入力数字)が同じ、
そして3種類とも異なる場合……
と、大まかには3パターンに分類できます。
細かく見ると「実際の字幅」以外に、全角数字と英数字などでベースラインがやや異なっていたり、字形そのものに微妙な差があるモノもありますので注意が必要ですが、縦組み中では無視できるモノが多いのも事実です。

ひとつだけ気になる書体を掲げておきます。

筑紫明朝 Pr6N Rですが……
ご覧のように、全角数字(青)と英数字(赤)の天地サイズの差が他と比較して大きくなっています。等幅半角字形は全角数字と同じようですので、混ぜて使用するなら全角数字(等幅全角字形)と等幅半角字形を使用し、英数字(プロポーショナル字形)を使うなら混用はしない方が無難でしょう。

本文組みによく使われそうな16書体の数字を上記の方法で比較・一覧したpdf

(後に示す例のように字形の統一を求められる場合は)このように各数字字形の関係を把握してはじめて、求める組体裁の成果物が得られることになりますし、わかっていれば余計な手間が省けることもありますので、確認の手間を惜しむべきではないでしょう。
**********
上記の結果を踏まえて……

以下に、幾つかの書体での私の処理方法を参考までに例示しておきます。
見本は「自動縦中横=2桁まで」「和/英数字間隔=0%(=ベタ=アキなし)」とし、「縦組み中の欧文回転=OFF」としてあります。

  • 「自動縦中横」が適用された部分では「和/英数字間隔」は無視されますが、「プロポーショナル字形」や「等幅半角字形」を適用した部分は「和/英数字間隔」が活きてきます。
  • 「縦組み中の欧文回転」でも3桁以上の英数字を1文字ずつ正立させることは可能ですが、同様に「和/英数字間隔」が活きてきますし、なんにせよ英数字は行末・行頭に分割されません(なので、「縦組み中の欧文回転」を採用せず、全角入力数字とするワケです)。





  • ◎や○を付したのが私好みの組み方です
  • 縦中横の2桁が全角幅を超えるモノもありますが、許容範囲と判断しています
  • 「字形は揃う」/「変化なし」などとあるのは、(上記のように)各字形を確認してあれば把握できていることですね

全角数字(等幅全角字形)と英数字(プロポーショナル字形)あるいは等幅半角字形との混在を気にしない方もありますが、(私の場合は)見え方の差が気になり不体裁に感じることも多々あります。なので、(それが大きな書体については)プロポーショナル字形や等幅半角字形に統一するようにしていますが、編集者によっては考え方もまちまちですね(なるべく統一するように進言しますが…)。
全角入力の必要な3桁以上の連数字部分はテキスト整理の段階で全角数字としておき、正規表現スタイルなどで適切な字形を適用すれば特に手間ではありませんね*1

まぁ結局は、書体毎のそれぞれの数字字形の差や求める組み体裁によって処理は様々、ということになってしまうのですが……。

*1:上の例ではイワタ明朝オールドと秀英明朝はテキスト段階で処理しておけば後の手間はありません