なんでやねんDTP・新館

はてなダイアリーから移行しました…

「四分アキ」などの設定方法

はてなダイアリーのサービスが来春には終了する予定なのでこちらへ引っ越してきたのですが、更新履歴を眺めると一昨年(2016)・昨年(2017)ともに8件のみ、今年(2018)に至っては未(いま)だに更新しておりませんでした。

転居後の環境では、幸いなことにブログへのアクセス解析*1が有効になったので、「四分アキ やり方」というキーワードを元にひとつ記事を書いておきます。

「四分アキ」が必要になることはケースにより様々ですが、ひとつの例を挙げ、思いつくまま(というほど数はないですが…)例示してみましょう。

以下のような例を作成してみました。

  • 作例はリュウミンRなので英数字も半角幅となっており、和:英数字間隔は0%(ベタ=アキなし)としています…

1行目と2行目を揃えるとすれば、「9」と「8」の前後に「四分アキ」を挿入してやる必要がありますね。

●文字前(後)のアキ

まず考えられるのは「文字パネル」の「文字前・後のアキ」を使用して、「四分アキ」を挿入すること。

  • この機能は「文字組みアキ量設定」の現在の設定値を一時的に変更すると考えればいいでしょう
  • 選択肢は「ベタ=アキなし」〜「全角」の全7種類  ※「自動」はアキ量設定ママ
●トラッキング

まあこれで十分なのですが、「文字前・後のアキ」に予め用意されている「アキ」は上述したように限られていますので、困ることもありますね。そんな場合は「トラッキング」を適切に設定してあげればいいでしょう。

  • この機能は選択中の文字の送り(後ろ)を変更することになります。単位はn/1000emですので、「250」なら1/4em(四分)、「500」なら1/2em(二分=半角)…以下略…もちろんマイナス値もオッケイ
●1字取り

また、「フレームグリッド」を使っているならワンクリックで1角分に収めることも容易です。

なお、上に挙げた処理例はInDesignで作成しましたが、「字取り」以外はIllustratorでも有効です。

もちろんこれらは そして、InDesignなら正規表現スタイル」を活用することで、自動的に適用できることはご存じの通り*2

 で、今回のような「基本的だと思える情報を求める方もおられる」ということに気付くいいきっかけにもなりましたので、今後はそのようなことも書き散らかしておこうかなと思った次第です。

*1:はてなダイアリーでは途中で使えなくなりました

*2:ご存じでなければ、まずは検索してみましょう

モリサワ新書体「みちくさ」の連綿体字形一覧のpdf

先頃(2017.11.08)、モリサワさんの2017年の新書体が使用可能となりました。
その中に、縦組みで連綿体が使用できる「みちくさ」というユニークな書体があります(参照→「みちくさの使い方」)。

  • 上記リンク先、一度は目を通して頭に入れておいた方がいいでしょう(各デザインのセットの主な字形の相違いなど…)
  • 当該ページ末尾にて「連綿体と代替字形の一覧」というpdfが公開されています (2017.11.14追記)

で、少し触ってみたのですがところ、基本的には【デザインのセット1】=「自動的に連綿体を有効にする」*1を適用し、変更したい部分はその適用を解除した上で、目的の【デザインのセット】を適用し直す*2という使い方でいいのでしょうが、各字形の差を字形パネルで確認しようとしてもかなりの無理がありましたので、連綿体などが一覧できるpdfを作成しました。

必要な方は、下のリンク先からダウンロードしてご参照ください。

www.dropbox.com
23種類同梱…twitter上で公開したのとほぼ一緒ですが、少しだけ補足しました

さらにもひとつ作成しました…50音順:モリサワさんのpdfを参考に同じような仕様で、情報を追加して…(2017.11.16追記)

内容は、
各「デザインのセット」毎の一覧のファイル(michikusa_set-ichiran.pdf)

と、
字形パネルで「すべての字形」を表示した状態での並びがわかるファイル(michikusa_CID3000+.pdf)

です。

また、以下のような注意点なども少し掲載しています。

  • まあ、書体の性格上ジャスティファイ(行頭行末揃え)で使うことも少ないとは思いますが…

そして、追加したpdfは以下のように50音順に【デザインのセット】の差が一覧できます。(2017.11.16追記)

お役に立てれば幸いです。

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少し追試…フォント名にAPとあるので(ペア)カーニングも設定されているハズです(以下の例文では判りませんでしたが…)。で、手動でカーニング調整をした際の挙動が気になって追試してみましたが、連綿体に変更されている部分の文字間には手動でのカーニング調整は効かず*3、その塊の後ろに影響が出るということが判りました。(この部分 2017.11.14追記)

  • 画像中の「−500em」は間違い、正しくは「−500/1000em」です…ご勘弁くださいませ

(以下、画像2点追加 2017.11.16)

  • 画像を観察すると、「ま・な」の一画目の入り方、「な・に・く・と」などの終筆部に作成時の苦労がしのばれます…

  • 挙動が朧気ながら見えてきました…やはり基本は【デザインのセット1=自動的に連綿体を有効にする】から適宜変更するのがいいでしょうね…
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ついでに…「デザインのセット」に関する説明をInDesignのヘルプからキャプチャ……(なお、CC2018以降は「スタイルのセット」となっているようです)

*1:「自動的に連綿体を有効にする」はIllustratorの場合は「デザインのバリエーション」同等かと思いますが、その他の【デザインのセット】との関係は検証していません

*2:解除の必要性について…【デザインのセット】は同時にいくつか適用できる仕様になっており、どれが優位になるのかわかりませんでしたので…そのあたりもpdfに例示してあります…

*3:効いて連綿体が解除されると予想していたのですが…

InDesignの「段落行取り」について…

InDesignの段落パネルサブメニューに「段落行取り」という項目がありますが、この使用方法や挙動などが理解しづらいようなので、私の理解の範囲で記しておきます。
初心者さんには、「行取り」そのものから説明する必要があるかと思いますので、まずそこから……*1

この「行取り」などは「テキストフレーム」内でも実現可能ですが、その設定はかなり煩雑なことになり現実的ではありませんので、ここでは「フレームグリッド」内での運用を前提に説明を進めます(もちろん、「グリッド揃え」は「なし」以外に設定しているという前提で…)。

行取り

1行のみで構成される小見出しなどの文字列(段落)を、本文の何行分のスペースに配置するのかということを設定します。
結果、「グリッド揃え」の揃え位置とは無関係に設定したスペース(行数分)のセンターに揃えられます。


段落行取り

こちらは、複数行に亘る少し長い文字列(段落)を、本文の何行分のスペースに配置するのかということを設定します。
もちろん「何行分のスペースに配置するのか」ということですから「行取り」の数値も設定する必要があります。

「段落行取り」を適用すると…(その段落全体の)行毎の「グリッド揃え」は解除されるため、その部分の行送りは設定されている「行送り値」に依存することになります。

フレームグリッド内の文字列(段落)には、(基本的には「グリッド揃え」に依存するため)初期状態では「ジャスティフィケーション/自動行送り=100%」が適用されています。そこに段落行取りを適用すると行送りは(グリッド揃えに影響されず)「文字サイズの100%」=「行間のアキなし」となります。しかし、一般的にはその部分には本文とは異なる「段落スタイル」を適用するでしょうから、その段落スタイルに目指す「行送り値」を設定しておけば特に問題はありません。

なお、段落全体は(グリッド揃えの揃え位置とは無関係に)設定したスペース(行数分)のセンターに揃えられます。

  • 行長で折り返しするのではなく、改行位置を指定する必要がある場合は【段落内改行(=sift+return)】*2を挿入します。こうすることで、「ひとつの段落」と認識されます…もちろん「行揃え」も適切に設定しておきます(この場合は「行頭揃え」)。

で、先の「3行取り」を「1行取り」とすると以下のようになりますね。
(少しズレて重なるのがミソというか面倒な部分です…)
※本当はここからが本題…

これを見ると、インラインでアンカー付きオブジェクトを配置し、後続の文字列との間に「段落内改行」を挿入することで、背景画像上の見出しなどが実現できるように思いましたわれます……が、正確にコントロールするには、その手順は煩雑に過ぎます*3

  • 2行ある段落を「段落行取り」で「1行取り」にすると、2行の1行目は上揃え、2行目は下揃えとなるようです…が、ここでは詳しくは追究しません
  • アンカー付きオブジェクトは、クリック選択して矢印キーでズラすということはできず、文字と同様に選択してベースラインを調整する必要がありました
  • この辺りの「選択」が何とも厄介です(2行目の選択も…)

で……ああでもない、こうでもないと試行錯誤するうちに、行送りを「0」とすることで、より簡単に処理できることに気付きました(単純なコトでした)。

  • なお、画像中にも記してありますが、各種揃え位置の設定によっては微調整が必要です

*1:…経験的に、フォーマットと称して支給されるInDesignドキュメントでは、本文以外の小見出しその他連動して動くべきモノが、単に「オブジェクト」として置いてあるだけのことが多いのです…「行取り」や「段落行取り」あるいは「アンカー付きオブジェクト」等々、「使うべき(あるいは使える)機能」を使いこなせていないことに起因するのだろうなと常々思っております…

*2:「強制改行」とも言われますが、「段落内改行」がより挙動が解りやすく適切かと思いますのでココではこちらを使っています

*3:つい先日の勉強会で思いつきで提案してしまったのですが、ちょっと勇み足であったようです。なお、カスタムのアンカー付きオブジェクトでは上下関係がうまくいきません…

「アンカー付きオブジェクト」の「カスタム」設定_その2

以前のアンカー付きオブジェクトの記事から少し間が開いてしまいましたが、続きを書く余裕が出来ましたので纏めておきます。
※前回は主に「X方向(字送り方向)」について記しましたので、今回は「Y方向(行送り方向)」について……

まず、おさらいとして……
インラインでアンカー付きオブジェクトを配置(つまりコピー&ペースト)した場合は、以下のようになります。

  • 赤い「困」は単純に文字サイズを30Qにしただけです
  • 大きい方は天地左右7.5mm(30Q相当)の四角いオブジェクトと直径7mmの円をグループ化してあります(以下同)
  • 簡単に言えば、(仮想)ボディと字形(グリフ)のような関係にしてあるということ(つまり、挿入後の隣の文字とのアキも予め含めてあるということ:ブルー部分はシロと考えてくださいね)
  • あくまでもテキストフレームです(レイアウトグリッドは目安として表示してあります)

上の画像を観察すると、文字サイズより大きなオブジェクトをアンカー付きオブジェクトとしてペーストした場合の挙動は、文字サイズを変更した場合と同じなのがわかりますね。
なので、(段落書式などの際に何度となく言及しているように)「行送りの基準位置」と「文字揃え」を同様の設定にしておくことでコントロールが容易になることがお判りいただけるでしょう。
また、放り込む部分の文字サイズより小さいオブジェクトを挿入する場合は、文字サイズと同じサイズのオブジェクトとの間で位置を調整し、それをグループ化した後に放り込むと、「オフセット」の調整に苦労することも回避できます。

【ここからが本題】
そのようにして放り込んだアンカー付きオブジェクト(画像左)の「親文字からの間隔」で「カスタム」を選択すると、デフォルトでは画像右のようになります。*1

  • 1行目には改行が入っており、その直後の行頭にアンカー付きオブジェクトを挿入してあります…
  • 右の状態が「カスタム」を選択した直後の状態…そのデフォルト値:「Y基準」の「行(ベースライン)」という設定は、少し危険なので注意が必要ですが、最後の方で紹介します
  • これ以降の画像に関しては、正しくは「1段(行)9字」ですが…特に影響はありませんのでご容赦願います

この状態から、「アンカー付きオブジェクトの基準点(赤丸部分)」と「アンカー付き位置のY基準(赤ライン部分)」とをそれぞれ変更した結果は、以下のようになります。


  • つまり、「アンカー付きオブジェクトの基準点」「アンカー付き位置のY基準」を(仮想)ボディを基準に同様に揃えておけば、イメージ通りの位置に配置されるということ

「Y基準」の選択肢は他にもありますが、(日本語組版で)挿入位置(アンカーマーカー)との関係を重要視する場合にはこの三者択一となり、他の選択肢を採ることはほぼ皆無でしょう。*2

このような(カスタム)アンカー付きオブジェクトの「Y方向」の挙動さえ把握・理解しておけば、(もし必要があったとしても)オフセット調整もほんの少しで済み、自由にその位置をコントロールできるハズです。

例えば、「段の上下境界線内に収める」のチェックを外してちょっと工夫すれば…

  • アンカーマーカー直後には全角スペース(左右150%)を挿入
  • この場合、Y基準の「行(ベースライン)」は「仮想ボディの下」にした方がベターですね(後述)

(上の画像右のように)フレームの1行目に意図通りに挿入することも可能です*3し、アンカー付きオブジェクトを挿入した段落に対して「行取り」を設定したり…*4 アンカー付きオブジェクトに「回り込み」を設定する*5ことも可能です。

最後に…「少し危険なので注意が必要」とした「Y基準」の「行(ベースライン)」という選択肢については、以下の画像を参照くださればご理解いただけるかと思います。

  • つまり、行中により大きいサイズの文字があるとその文字に影響される…

級数混植の際には要注意ということです*6

●補足(公開当日に追記)
理解が難しくなる話しがややこしくなるので触れないでおくつもりだったのですが…検証中に以下のような、相反する結果が現れたことを報告しておきます。

  • 上下とも左右それぞれの設定は同じ…が、後続の文字サイズに影響を受ける場合(左)と受けない場合(右)が現出
  • 左:折り返し改行位置にかかるように文字サイズを変更
  • 右:行中の文字サイズを変更した後、その部分が改行位置にかかるように(その前に)文字を追加
  • 共に、アンカー付きオブジェクトを挿入・カスタム設定後に文字サイズを変更

文字揃えも同様に「上なら上、下なら下」としてあれば特に影響はありませんが*7、このような挙動を知ると、「(仮想)ボディの中央」を基準に揃えるのが最も無難である…といえますね。
何故なら「(仮想)ボディの中央」は文字サイズに関係なく一定ですから。

*1:特に触った記憶がないので工場出荷時のデフォルトだとは思いますが、もし違っていたらすみません…

*2:但し、テキストフレームの下に揃えたいとか、ページや版面を基準にしたい場合は「テキストフレーム」「ページマージン」「ページ枠」の使用が有効なのは言うまでもありませんね

*3:大きいからといって、フレームグリッドで2行取りになってしまうこともありません

*4:以下の二つはフレームグリッド使用

*5:後続の段落に対しての設定となります…挿入した段落やそれ以前の段落に対しては無効

*6:理屈から考えれば英数字のみ文字サイズを大きくしている場合なども同様…微々たるモノですが…

*7:作例の文字揃えは「中央」