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「DTPの勉強部屋 第16回勉強会」フォロー

2010年02月13日、名古屋で開催された「DTPの勉強部屋 第16回勉強会」で話させていただいた際の前半部、字体・字形関連の話の流れを要約し、関連する当ブログ内へのリンクを……*1

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配付資料→ 名古屋100213_配布資料.pdf 直(アイコンをクリックするのがベター)
オマケ→ 名古屋100213_01.pdf 直(アイコンをクリックするのがベター)
※当頁の配置画像などの元
Google docs での表示は粗いですが、ダウンロードしていただくと鮮明です。

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まず、色々な意味で問題になりそうな文字群を例示し、その文字群に普段使っているスクリプトを利用して字形置換テーブルを適用するデモ。



表外漢字を正字に変換するテーブルを適用結果*2
次に人名漢字を旧字体に変換した結果
最後に常用漢字をも旧字体に変換した結果


何故、このようなアホなことをしているのかという理由および「いわゆる康煕字典体」とは何であるのかを、主に表外漢字字体表の前文の引用から説明(書籍組版の立場から)*3


使用画面_その1
使用画面_その2


このパートの結びとして表外漢字字体表の前文より

なお,表外漢字字体表に示されていない表外漢字の字体については,基本的に印刷文字としては,従来,漢和辞典等で正字体としてきた字体によることを原則とする。これは,常用漢字の字体に準じた略体化を及ぼすことで新たな異体字を作り出すことに対して,十分慎重にすべきであるという趣旨である。

を引用して、

明らかに83JISのアホな変更を批判しているように読めるが……つまり、この表外漢字字体表に掲げられていない文字(表外漢字)については、当用漢字や常用漢字の字体整理に倣った簡易字体(=拡張新字体)ではなく、「いわゆる康煕字典体」を用いましょう……ということ。

と結論した……つもり。


表外漢字字体表


さらに、それは手書き原稿の略字体などを常用漢字の字体に置き換えるのと同様に、拡張新字体なども「いわゆる康煕字典体」に置き換えるということであり、それが本来の筋であると説明。


使用画面_その3


さらに「表外漢字字体表」から洩れた拡張新字体および78JIS当初からある拡張新字体の例もあることを挙げ、JISの例示字形の問題点を説明。ただし、JISがワルイのではなく、あくまでも例示字形でしかないものを規範としてしまっているフォントベンダーにも責任があるだろうと付け加え、逆のイイ例として写研の81年の手動機用文字盤の表外漢字の変更の例を示した。


当ブログ内関連頁


結論として、(拡張新字体だらけの)JISの例示字形に準拠してフォントが制作されている場合(殆どがそうなのだが……)には、表外漢字を「いわゆる康煕字典体」とするにはそのままでは問題がある……としたつもり。


続いて、国の漢字施策年表とそれらと人名用漢字およびJIS規格とのややこしい関連を示し、


当ブログ内関連頁


最終的に

この間、出版界では表外漢字に関してはズーッと基本的には「いわゆる康煕字典体」で来ていたワケで、もちろんJISの例示字形ではなかった(写植が主流の時代までは)。
が、JIS例示字形に準拠したフォント環境しかなかった「我がDTP」の台頭によってそれが乱れて来ていた(かろうじてBiblosがあったが)という現実がある。
しかし、ここに来てOTFの登場によってJISの例示字形に準拠しない、「いわゆる康煕字典体」での組版が十分可能になって来たんだから、それをやらない理由はないでしょう。

という結論づけた……つもり。


この後、InDesign上の話に移り、「詳細字形に利用できる字形セット」のうち「旧字体」の内容を示し、全文旧字を組むには力不足であることを先ず示し*4



使用画面_その4_旧字体


それと同様に(駆け足で)他の字形セットも表外漢字を「いわゆる康煕字典体」とするには適しておらず、せいぜい文字スタイルで利用する程度のモノだとしたうえで、結局は、冒頭にデモで見せたスクリプトによる置換が必要であるとした。


使用画面_その5_エキスパート字形
使用画面_その6_JIS78字形
使用画面_その7_JIS83字形
使用画面_その8_印刷標準字体-1
使用画面_その9_印刷標準字体-2
使用画面_その10_JIS04字形
使用画面_その11_モリサワPr5*5


ここから、スクリプトで使う設定ファイルに必要な字形タグの確認の仕方を字形パネルの読み方を含めて詳細に説明するつもりだったが、いよいよ時間が足りなくなり、不本意ながらこれも駆け足で説明することしか出来なかった。



使用画面_その12*6
当ブログ内関連頁


最後に、冒頭同様に表外漢字を正字に置換し、人名用漢字および常用漢字をヒゲあり字形に置換するデモをお見せするつもりだったが、既に1時間を超え(もう一つの話もせねばならず)断念した。
下は、その置換結果。



以下置換テーブル関係の親記事
表外漢字の正字化_まとめ01
表外漢字の正字化_まとめ02
表外漢字の正字化_まとめ(結)
人名用漢字の置換テーブル
常用漢字の置換テーブル
イワタ明朝体オールド用の置換テーブル
尚、「表外漢字の正字化」と題する01_16及び番外01_03の記事も時間が許せばご参照ください。
他にも部分字形「皀」など字体・字形に関する記事は当ブログ内に散らばっているので、ご興味のある方はタイトルを頼りに是非ご参照ください。


置換テーブルのダウンロードはココより(この機会に少し修正・追加)
スクリプト本体はInDesignスクリプト配給所さん(三島梅花藻さんとこ)の「連続文字置換用スクリプト.jsx」をダウンロードしてください(スクリプトの使い方および適用範囲の変更の仕方は私の方からダウンロードするモノに含まれています)。
置換テーブルの最終行に改行があるとエラーとなりますので、書き換える際はご注意ください。


以上、経験不足から不十分な説明に終わってしまった内容を復習する手助けになれば幸いです。
ご参加された皆様、ありがとうございました。


最後にこのような機会を設けていただいた主催者:森裕司さんはじめ関係者の皆さんに感謝すると共に、そのご配慮で相棒として一緒に舞台(?)に立つことになったえむさんにあらためて感謝する。
私がやや暴走気味に突っ走りそうになるところに、彼がタイミング良く適切な言葉を挟んでくれることによって、まとまりに欠けた内容も、少しはご理解いただけたのではないかと思う。


また機会があれば、よろしくお願いします。

*1:申し訳ありませんが、後半に関しては先日の記事にあるとおり、「禁則調整方式=調整量を優先のすゝめ_再01」と題する記事以降の何回かをご参照ください。

*2:文字コードソノモノを書き換えている部分は黄色地にはなっていない(以下同)。※04変更でヒゲを剃った件は確信犯的に無視している

*3:この辺りに関しては他からの引用資料2点も配布

*4:この際に字形パネルからのダブルクリック入力と字形メニューから旧字体を適用した場合の差も例示。※別の機会に字形メニューから置換することでルビが生きることも例示

*5:この辺りで簡単に「音」を例にフォントバージョンやメーカーなどによって複数のテーブルが必要なことを説明したつもり

*6:この際に検索の際に親文字のコードでしかヒットしないことを例示