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「日本語段落コンポーザ」と「日本語単数行コンポーザ」

先日、twitterで話題になっていたInDesign「日本語段落コンポーザ」「日本語単数行コンポーザ」について、簡単な検証を試みた。

まず、スピーカーをやらせていただいている大阪DTPの勉強部屋主催の連続講座「InDesign組版教室」で、段落に関する各種設定の挙動を説明するために用意したテキストがあったので、それを流用し*1、以下のような「日本語単数行コンポーザ」の文字組みを用意した。

さらに、禁則調整方式4種に対して、「強い禁則」と「弱い禁則」、文字組みアキ量設定を「行末約物半角」と「行末受け約物全角/半角」……と組み合わせを変えて計16種類を作成。

これを頁下部にコピーし、「日本語段落コンポーザ」に変更したモノを作成し比較してみた。
※赤い斜線部分はコンポーザによる違いはない。

pdfを用意したので必要な方は以下から……(アイコンをクリックするのがベター)
強い禁則の場合  強い禁則.pdf 直
弱い禁則の場合  弱い禁則.pdf 直
両者を重ねたモノ 強い+弱い禁則.pdf 直

もちろんテキスト(文字の並び)にもよるのだろうが、作例では「強い禁則」と「弱い禁則」による違いは顕れず、「強い禁則」のコンポーザによる違いをみるべく、折り返し改行位置にリターンマークを挿入して頭揃えの状態にし、行末とのアキ量を目分量で測定してみた*2




結局、勝ったり負けたり、どちらかが顕著に調整量が少ないというわけではない。繰り返しになるが、もちろんテキスト(文字の並び)にもよるだろうとは思う*3

「単数行コンポーザ」は行(段落)の頭から各種設定に従って文字を配置していくのに対し、「段落コンポーザ」の特徴は、(段落全体をみて)なるべく調整の少ないように自動で処理することにあるのだが、そのマズイ部分は、それぞれの2行目に如実に顕れている。
見れば判るように、(段落全体をみて)禁則処理に関係なく1字分のアキを発生させているワケである。
このことが原因となって、後続行の文字列に変更が生じた場合に、(段落全体をみて)このアキをツメてしまうことも起こりうる。皆さんが経験しているような*4変更箇所より前の行の文字の並び(折り返し位置)が変更されてしまうという結果が生じ、「なんで?」ということになる。

考えるに、「段落コンポーザ」は和欧混植で英単語のハイフネーション処理が不可能であったり、行頭行末にかかる連数字処理の関係、あるいは「強い禁則」採用時などに発生しがちな、行中に2文字分以上の調整が必要になる場合には有効に機能するだろう。つまり「段落コンポーザ」は「広域調整」が必要な段落にのみ使用するのが適切ではなかろうか……そのような行(段落)は(大抵は)見た目で判断できるハズである。

*1:InDesign CS4のヘルプを都合良く改変し、行長調整箇所を多くしたモノ

*2:行末の約物に関しては、その「文字組みアキ量設定」に応じて換算している。つまり「全角/半角」の場合は全角取りとして行末とのアキを……

*3:ここで「調整量を優先」の優位性を主張することはしない

*4:もちろん、私もInDesignを導入した当初に経験した