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「文字組みアキ量設定」の最大値と延ばし処理

InDesignの「文字組みアキ量設定」の「基本設定」で行中設定の「0%固定(半角固定)」を安易に選んだらダメですよ……ということを説明するために検証していて、ちょっと不可解な挙動に遭遇した。明らかにバグであろう。


ダメだという理由は、

「0%固定(半角固定)」を選択すると、最適値および最大値にまで「0%」が適用されてしまい、行長調整で延ばし処理が必要になった場合に、アキが挿入されないから……

という認識だったのだが、実際に検証してみると……ちょっと様子が違うらしい。
こんなtweetまでしていた……


で、以前から気になっていた「最大値」と「延ばし処理」との関係も含めて、さらに検証してみた。

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まず、デフォルトの「行末受け約物全角/半角」を使用して以下のような、連数字によって行長に不足が発生し、2文字分の延ばし処理が必要な文字列を作成した。
(青字はその結果、赤字は頭揃えの状態)



設定内容は(デフォルトなので)ご確認していただければ判るが、前の文字クラス「平仮名」の後「読点類」のみ最大値が「0%」(下の図中の×部分)で、他は文字クラスによって50%か100%が設定されている。



とりあえず、ということで2000/1000emを最大値が0%ではない字間17で割り算すると約118/1000emとなる*1ので、そのように(赤文字に)トラッキングをかけたうえで、(もちろん)重ねてみた。



ピッタリと重なる(最適値および最大値が50%の「終わりかぎ括弧」「読点」にもトラッキングはかかっている=最大値以上の延ばし処理がされているということ)。
(ここで押さえておきたいのは、約物部分の最適値と最大値は同一ということ)

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次に、前の文字クラス「終わりかぎ括弧」と「読点類」の対仮名などの最適値と最大値を0%(半角固定)とし、カタカナ同士の最大値をベタ、対平仮名には50%とした設定を作成し同様に考えてみた(関連部分の優先度は「なし」とした)。
コピーの設定変更内容



この場合は、(カタカナ対平仮名の最大値50%を0.5と考えて=上の図中の部分)3000/1000emを13.5で割り算すると約222/1000emとなり*2……これもピッタリと重なった。



(この場合も、約物部分の最適値と最大値は同一ということ)

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さらに、先の設定の約物部分の最大値を50%に変更して考えてみた(この場合は、約物部分の最適値と最大値は違いがある)。
コピー2の設定変更内容


とりあえずトラッキングで同じ送りになるよう調整にしてみたが……「終わりかぎ括弧」と「読点類」部分のみ違ったトラッキング数値となり、その数値と設定との関係が、どうもよく判らなかった。


で、最終的に判ったのは……約物部分の最適値(0%)と最大値(50%)の違いを考慮して、その部分(下の図中の部分)を各0.5ずつのプラスと考え、14.5で割り算すると……約207/1000emとなり*3、トラッキングで調整した数値とも近似値となった。



もちろん、そのように設定してみるとピッタリと重なる結果が得られた。



これらから得られる結論(推論)は、
延ばし処理によって生ずるアキは約物部分に関しては最大値を超えて適用される。
その配分は最適値と最大値が同一かどうかによっても差がある(その差の比率に応じる)。
なお、約物以外の部分の最大値はこれを超えて延ばし処理をされることはない*4
ということになるだろう。


(以下、20110813追記
最大値を超えて延ばし処理されるのは……句読点類の後ろ、中点類の後ろ、終わり括弧類の後ろ……なお、twitter上で後続文字が半角数字・欧文の場合には最大値を超えることはないとの情報をいただいき、当方でも確認した。
また、始め括弧類の前や中点類の前に同様の処理がなされないことを考え合わせると、明らかにバグであると断言していいだろう。
何といっても、最大値の設定は無視されているのだから……


続きがあります→ 「文字組みアキ量設定」の最大値と延ばし処理_再

*1:×部分は0/1000em

*2:△部分は222*0.5/1000emとなる

*3:○部分は207*1.5/1000em、△部分は207*0.5/1000emとなる

*4:もちろん、極端に調整量が多い場合は別にして