なんでやねんDTP・新館

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禁則処理のなんでやねん!

もうすぐInDesign CS3がリリースされようとしている現在、時期をのがしてしまったのだが、CS2で追加された禁則調整方式の「調整量を優先」について。


ご存知の方も多いと思うが、この機能は、従来「追い込み優先」でもバラしてしまうしかなかった、行中の連続約物などで発生してしまった半角分のスペースを「文字組みアキ量設定」の最小値に応じてツメてしまうことができる。
広告に使用するコピーをツメ組みするのを主な仕事としていた写植屋あがりで、半角の余分をなるべくツメて処理したいと思っていた私にとっては、待望していた機能だった。「アキ量設定」のカスタマイズ次第で、行中に他の約物が無くてもツメ処理可能だ。



そんな重宝していた「調整量を優先」だが、ある時、編集者から「文字組がおかしい」と指摘を受けてビックリ。


例を見てもらえばわかるように、例えば20字詰めの20字目に「ブラ下がり対象文字」がある場合に、その行中に調整可能約物があれば21字目まで追い込んでしまうのだ。この場合、調整が不要なのはいうまでもない。



さらに検証をすすめると、同じく20字詰めの20字目に「ブラ下がり対象文字」があり、22字目にも「ブラ下がり対象文字」がある場合には、22字目をブラ下げ処理して追い込んでしまうことが判った。「追い込み優先」もおかしなことになっている。この場合も、もちろん調整は不要なハズだ。



どちらのケースでも20字目の「ブラ下がり対象文字」が「行頭禁止約物」である場合には、こうはならない。
もちろん問い合わせたのだが、アドビのサポートによると「内部にも異論はあるものの、これは仕様として確認している」とのこと。なんでやねん!


尚、作例の「文字組みアキ量設定」は「※カスタマイズ」と表示のある物以外はデフォルトで用意されている「行末受け約物全角/半角」を使用している。


パーレン部分のQ数を下げたり、欧文が頻出するような本文組で、基本的な設定を自分で決められる場合は「ブラ下がりなし/調整量を優先」を選択するのだが、著者なり編集者なりの意向で「ブラ下がりあり(標準)」を選択しなければならない場合は、その相手として好みではないが「追い出し優先」しか選択肢がないのが実情だ。


090908追記
「調整量を優先」かつ「ぶら下がり/あり」組版時にみるバグと題した新しい記事もご参照ください。