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モリサワの印刷標準字形 モリサワの返答

印刷標準字形を呼び出す nlckタグがベンダーだけでなく、フォントのバージョンによっても相違があり、非常に使いづらいものであることがNAOIさんの記事(d:id:NAOI:20070713)で明らかにされているので「もうええワ」という感じなのだが......。


先日のコメント欄(d:id:works014:20070707#c)で触れた、Pr5書体の印刷標準字形に関する問い合わせへの返答と資料が07/07/13にモリサワから送られてきた。(メールに資料pdf添付)


当方の質問内容は、電話でのやりとりなのでうろ覚えだが、

  • 互換29字など2000で新コードが振られた元コードの文字が印刷標準字形に置換されない件(ヒラギノ同様)
  • その新コードの印刷標準字形に該当する文字に印刷標準字形を適用すると一部は拡張新字形(じつは簡易慣用欄の文字だった)になる件(ヒラギノとは別)
  • 芦屋が蘆屋となってしまう件(ヒラギノとは別)

などだったと記憶している。(あくまでもその時点での疑問)*1


その後、当方の資料として先日掲載したもの()のオリジナル(抜粋でないもの)のInDesignデータそのものをメール添付で送っていた。


メールの履歴を見ると 07/02/28に

現在フォント制作セクションにてご案内します情報を整理しております。
誠に申し訳ございませんが、ご案内に時間を必要とする事をご了承いただけますようお願いいたします。

という内容のメールを受け取っている。(その後4ヵ月以上経過)


添付されてきた資料は

  • 印刷標準字体として定義されている文字(字体表スキャン画像)
  • モリサワPr5の字形(印刷標準字体で定義される文字と、入力時の文字)
  • アドビ社小塚書体(同)
  • アップル社ヒラギノ(同)

を並べたもの(表外漢字字体表の一部)で、メール本文で

 今回ご指摘いただきました字形の違いの件ですが、印刷標準字体で定義されている文字としては各社異なる状況はございますが、誤りではございません。
これは、印刷標準字体として「簡易慣用」の字形が定義されている事を起因といたします。

とし

この字形の違いは、印刷標準字体で定義する際、下記指針が元になっております。
(国語審議会Webより)

 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/12/kokugo/toushin/001218.htm
 一前文
  2表外漢字字体表の性格
  (1)表外漢字字体表の作成目的及び適用範囲 より

【この字体表では,常用漢字とともに使われることが比較的多いと考えられる表外漢字(1022字)を特定しその範囲に限って,印刷標準字体を示した。また,そのうちの22字については,簡易慣用字体を併せて示した。ただし,この表は,常用漢字表を拡張しようとするものではなく,この表にない表外漢字の使用を制限するものでもない。
表外漢字の使用に際しては,印刷標準字体を優先的に用いることを原則とするが,必要に応じて,印刷標準字体に替えて簡易慣用字体を用いることは差し支えない。簡易慣用字体を用いるかどうかについては,個々の事情や状況を勘案した上で,個別に判断すべき事柄と考える。】

と簡易慣用欄の字体を採用していることの妥当性の説明のみであった。


ホンマ、しつこくて嫌われそうだが、以下のメールを送っておいた。

資料拝見しました。

簡易慣用欄の字形と備考欄の字形表示を優先されているのは判るのですが、

      • -

例えば1-22-02を入力して、印刷標準字形を適用しても印刷標準字形にはなりません。
CID1690のママです。この字形は簡易慣用欄にはありません。
これはいわゆる互換29字の文字で、表外字体表の字形はJIS X 0213:2000 で別コードを振られているからでしょう?

で、そのコードに印刷標準字形を適用すれば当然、簡易慣用欄に表記がないので表外字体表の字形が表示されます。

一方、資料にもある1-16-02も互換29字の文字で、おなじく印刷標準字形にはなりません(変更されない)が、
JIS X 0213:2000で振られた別コード1-15-08に印刷標準字形を適用しても簡易慣用欄の字形になってしまいます。

ここまではそちらのポリシーとしてある程度理解できますが、

      • -

簡易慣用字体を表示するのであれば
1-16-18の印刷標準字形が蘆になってしまうのは何故?
1-73-35が芦にならないのは何故?
1-33-73の印刷標準字形は表外漢字字体表の簡易慣用欄の字形(痩)にならないのは何故?
さらに
1-28-40の印刷標準字形が?になってしまう(屡にならない)のは何故?
表外字体表の?は別コード1-47-64ですし、簡易慣用欄に屡が表記されているわけでもありません。

      • -

JIS X 0213:2004の変更とのからみもあるのでしょうが、もうすこし詳しくご説明願えますか?

なお、メール本文の前段落に

現在、この件につきましては、弊社Webに関連資料を一般公開する予定ではございますが、作成時間を要するため、別途ご説明資料として作成したものとなります。

メール本文末尾に

上記資料は弊社Pr5仕様での比較となりますが、今後Adobe Japan1-6として定義される場合は、印刷標準字体への対応仕様に変更が加わる可能性がございます。

とあったことも報告しておく。

*1:NAOIさんの記事 d:id:NAOI:20070201 に触発されて、Pr5を入手した頃に作成した内部資料を元に電話をしたのだった