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組版担当本の紹介_『校正のこころ』

先日の記事で進行中としていた書籍が店頭に並ぶ頃、本ブログの読者にも関心があるであろう内容なので紹介しておくことにする。

校正のこころ

校正のこころ



上はダストカバーと腰巻きの表1部分*1


画面では判りづらいが、箔押しをあしらった上品な装幀は濱崎実幸さん(男性)。
奥付や目次、参考文献など紹介しておいた方がいいと思う部分もあるが、色々とややこしくて……割愛。
版元=創元社の書籍案内 該当ページ


本文組版仕様は、
イワタオールド明朝体R, 14級(丸パーレン内12級)*41字詰*1816行*2(行送り24H), ぶら下がり方法=標準, 禁則処理=弱い禁則, 禁則調整方式=調整量を優先とし、文字組みアキ量設定は私の(も)「文字組みアキ量設定」_改で提示したHW2.5nをさらにカスタマイズして、和欧文間/和英数字間とも四分アキ(元は八分とベタ)、段落字下げ=1文字, 段落先頭肇括弧類=段落字下げ−始め括弧半角とした(圏点は86%)。


(ここからの塊が重要な部分)
「調整量を優先」を使用することに起因する「不必要な追い込み」が行われる例のバグは当然発生するが、「文字組みアキ量設定」で「仮名前後などの最小値をマイナス値に設定した部分」の優先度を「読点絡みの部分」より上に設定してあるため(句点はほぼ二分固定)、調整の影響が読点にまで及ぶことは殆ど無いようで、結果として読点後のアキはほぼ二分確保されており(最小値はほぼ四分)、我が仕事ながら見事に誤摩化されているため判別し難いモノとなっていた。
最終的には編集者の手を煩わせてそれらしき箇所を抽出し、句読点の直後に改行を入れて行末とのアキを確認した後、該当部分は強制改行(sift+リターン)として悉(ことごと)く潰した(つもり)*3


「校正」を扱っているという内容が内容なだけに、私にとっては組みながらも勉強になることが多く、組版を担当させていただいて本当に良かったと思っている*4
著者の大西寿男さんと直接お目にかかる機会はまだないが、12月上旬にはそれも実現しそうな様子。楽しみである。
尚、著者の個人出版事務所「ぼっと舎」のHPは11月24日に公式オープン予定とのこと*5


このブログを閲覧されている方も、店頭でお見かけになる機会が有れば、是非お手にとって内容をみていただき、本書の読者となってくださることを願う。

*1:画像右上の影が切れてしまった……乞容赦

*2:091205_著者のご指摘により訂正。お恥ずかしい限り

*3:普段はここまではせず、誤魔化したママ済ますことが多いのだが……、少々反省し今後の課題とすることに。

*4:当初は、ほぼ組み上がっているモノの書体変更ということで、色々と面倒なことが予想され、尻込みをしていたのだが……

*5:20091119現在