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Illustratorでの文字組_その5_「ぶら下がり」と「禁則調整方式」補足

Adobe Illustratorというアプリは長文の日本語文字組版に使用すべきではない」という認識を前提として、それでも使わざるを得ない環境に居られる方に向けて、イランお節介みたいな記事を何回かに分けて掲載するつもり。あくまでも私個人の主観的な意見でしかないが、何かの参考になれば嬉しい。

Illustratorでの文字組_その5_「ぶら下がり」と「禁則調整方式」補足
前回確認した作例で付した赤い「?」や「×」部分の不可解な理由を書いておく。
作例の pdf はコレfile:works014:ai_ぶら下がりtest.pdf


まず、使用したデフォルトで用意されている「文字組みアキ量設定」の「行末約物全角」を確認しておく。



ご覧の通り、終わり括弧類や句読点類の対「行末」は最適50%/最小0%となっており、InDesignには用意されている「優先度」の設定はない
以下、代表的な部分を見ていく。


ぶら下がり=なし



追い込み優先の場合(画像上がいわゆるベタの状態、以下同)
1・2段落目は句読点の対「行末」を0%とすれば他の調整は不要なハズだが、行中で50%の調整をしてしまっている。
2段落目に見られるように括弧類より読点類が優先的に調整に利用される*1
4段落目は対「行末」を0%とし、残り50%を処理すれば大丈夫なのだが、括弧部分2箇所で計100%の調整をしている。
全体的に行末よりも行中での調整が優先されており、その優先度も適切ではないため、不要な調整が目立つ結果となってしまっている。


追い出し優先(追い出しのみ)の場合
1・2段落目は対「行末」を0%とすれば他の調整は不要なハズだが、それを採用せず150%のアキを調整可能な部分に割り振ってしまっている。
この場合、この位置にある読点を行中に収めてしまうことを「追い込み」だといわれるなら、スミマセンと謝るしかないが……。


ぶら下がり=標準



禁則調整方式の設定に関わらず、不要な50%の調整(字割り)をしてしまっている。


ぶら下がり対象でない行頭禁則文字



ぶら下がり方法の設定とは無関係なのは当然ながら、禁則調整方式に応じて、上記の「ぶら下がり=なし」と同様の挙動不審がみられる。


InDesignでほぼ同様の設定にあたる「行末約物全角/半角」ではこんな挙動はない*2
いずれも(私の立場からは)バグだと考えられる。


(以下、20100710追記)
上記バグの件、Adobeさんのカスタマーサポートポータルに投稿しておいた(2010/07/07)が、回答(2010/07/10)は以下(一部、改行位置変更)

ブログを拝見させていただきました。
Adobe Illustratorの不具合と考えます。
行末に一文字分のアキが確保できているにもかかわらず行頭へ送る必要が無い文字が送られています。
この動作はAdobe単数行コンポーザーおよび段落コンポーザーを利用した場合で確認できました。
修正要望を開発部へ提出いたします。

ということで、なんらかの形での修正が期待される。

*1:私の感覚では括弧類を先にツメル

*2:一部よく似た挙動はあるがAdobeさんはバグだと認めている:http://d.hatena.ne.jp/works014/20090916 末尾参照