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私の「文字組みアキ量設定」_1109版_結

記事(及び画像)中で【行末約物】の扱いについて「全角/半角浮動」「全角/半角(浮動)」などと表記してあるものは「状況により全角/半角の二者択一」という意味であり、決して中間値を採るという意味ではありません。私の(用語的な)理解不足による不適切な表記に他なりません。ご寛恕くださいませ。
InDesignの文字組みアキ量設定の基本設定画面の「50%(0%〜50%)」などは「最適/50%、最小/0%、最大/50%」ということで中間値を許容します。しかし、行末設定に現れる「50%/0%」は「最適50%/最小0%」、「0%/50%」は「最適0%/最大50%」の二択で中間値は採りません。
※「〜」の有無で見分ければいいでしょう(もちろん、「固定」は固定)。


最終回となる今回は……
行長が短い際に必要となると思われる「約物の最小値をさらに小さくした設定」と約物の最小値を(ほぼ)ベタにした「ツメ組み用(あるいは小見出し用)の設定」を提示し、長〜い連載を終了としたい。


まず、前回の反省に基づいて、(【HW-J】から【HW-K】を派生させたのと同様に)先に作成した最小値をマイナスにした設定【HW-Jt】から【HW-Kt】を派生させ、その【HW-Kt】を元に変更を加えていく*1


  • 対:段落先頭の中点類をデフォルトの「0%」に

  • 結果、基本設定の「段落字下げ」は「なし」となる


●最小値をさらに少なくした設定 【HW-Kh】


調整可能箇所が少なくなりがちな行長の短い本文用に調整量をさらに確保するために、【HW-Kt】を元に、最小値の+部分を半分程度にした設定を作成した【HW-Kh】。

  • 行中のカギ括弧類 12.5%(8分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 行中の残りの括弧類 0%(ベタ)/50%(全角ドリ)※最小はベタ
  • 行中の読点類 12.5%(8分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 行中の句点類 25%(4分アキ)/50%(全角ドリ)※句点は最小4分アキ
  • 行中の中点類 0%(ベタ)/25%(4分アキ)※最小はベタ

※50%は25%に、25%は12.5%に、12.5%は0%に……ということ
※数値は「最小値/最適値」
※−3%の調整量は加味してあるが、中点類の最小値はマイナス値にはしていない



  • 行中のカギ括弧類 12.5%(8分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
              • -


  • 行中の残りの括弧類 0%(ベタ)/50%(全角ドリ)※最小はベタ
              • -


  • 行中の残りの括弧類 0%(ベタ)/50%(全角ドリ)※最小はベタ
              • -

  • 行中の読点類 12.5%(8分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
              • -

  • 行中の句点類 25%(4分アキ)/50%(全角ドリ)※句点は最小4分アキ
              • -


  • 行中の中点類 0%(ベタ)/25%(4分アキ)※最小はベタ
  • この画面の最上段の対「始めかぎ括弧」の部分も最小値は「0%」とすべきだろうが……ミスです。(20120123追記
              • -

以上の変更を加えた後の
【HW-Khの基本設定】

              • -

以上は、基本的にはベタ組み用の設定であったが、ツメ組み用あるいは小見出し用として基本的に約物を(ほぼ)半角ドリにした設定も提示しておく。


●ツメ組み用の設定 【HW-Ko】
約物の対:行末最大値に50%を残してしまうというミスを犯しています…最適値を代入すべきでした、ご注意ください
修正版はこの記事の末尾からダウンロードされるデータ中に説明付きで…


本文ツメ組み用に、直前に作成した【HW-Kh】を元に、行中カギ括弧類および句読点類以外は基本的にベタの設定を作成した【HW-Ko】。

  • 最適値がプラス値の部分を最小値と同一値に(但し、−3%は考慮しない。最小値がマイナスの場合は「0%」)
  • 「対:行頭」および「対:行末」の中点類の最小値/最適値とも「0%(ベタ)」に
  • 始め括弧類の「対:行頭」、終わり括弧類および句読点類の「対:行末」の最小値/最適値とも「−6%」*2
  • 延ばし処理時に漢字間のアキを他と比較して小さく抑えるために「その他の和字同士」の「最大値」を「50%」*3

※欧文前後はママ。
※この場合も行中のカギ括弧類および句読点類にはある程度のアキが確保されていることに注意。
※使用フォントによっては少々気に掛かる部分がなきにしもあらずだが……まぁ、サンプルということで……


例えば……



  • こんな具合に……
              • -

  • 「対:行頭」および「対:行末」の中点類の最小値/最適値とも「0%(ベタ)」
              • -


  • 読点類の「対:行末」の最小値/最適値とも「−6%」
              • -


  • 句点類の「対:行末」の最小値/最適値とも「−6%」
              • -


  • 始め括弧類の「対:行頭」、終わり括弧類お「対:行末」の最小値/最適値とも「−6%」
              • -

  • 延ばし処理時に漢字間のアキを他と比較して小さく抑えるために「最大値」を「50%」に
              • -

  • 欧文前後はママ(基本12.5%/8分アキ)


【HW-Ko】設定後の詳細設定画面の「前の文字クラス」画面のスクリーンショットを纏めたpdfは以下からダウンロード可能
HW-Ko_setting.pdf 直 アイコンをクリックするのがベター

              • -

ここまで出来たところで、さらに【HW-Kh】【HW-Ko】から対:段落先頭の中点類を「25%アキ」とした【HW-Jh】【HW-Jo】を派生させた*4
※【HW-Ko】は不要かもしれない……


作成した8種類を整理すると……
(カスタマイズするための)基本的な設定 【HW-K】
最小値をマイナス値にした設定 【HW-Kt】(比較的行長の長い文章用:ベタ組み用)
さらに最小値を半分程度にした設定 【HW-Kh】(比較的行長の短い文章用:ベタ組み用)
約物最小値最適値を(ほぼ)ベタにした設定 【HW-Ko】(ツメ組みあるいは小見出し用)
それらの中点類の対:段落先頭を25%とした設定群 【HW-J】【HW-Jt】【HW-Jh】【HW-Jo】
ということになる。

基本的な設定 【HW-K】を再掲しておくと

  • 行中のカギ括弧類 25%(4分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 行中の残りの括弧類 12.5%(8分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 対:行頭の括弧類 0%(天付き)/0%(天付き)
  • 対:行末の括弧類 0%(半角ドリ)/50%(全角ドリ)※全角/半角浮動
  • 行中の読点類 25%(4分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 行中の句点類 50%(全角ドリ)/50%(全角ドリ)※句点は調整に使用しない
  • 対:行末の句読点類 0%(半角ドリ)/50%(全角ドリ)※全角/半角浮動
  • 行中の中点類 12.5%(8分アキ)/25%(4分アキ・全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 対:行頭・行末および対:段落先頭の中点類 25%(4分アキ)固定
  • 約物が連続する場合は括弧類の前後12.5%/50%、中点類の前後12.5%/25%、読点類の前0%/0%、後25%/50%、句点類の前0%、後50%/50%とする。但し同方向は0% ※ここの表現は少し難しい(ややこしい)のだが……あまりいじらない

上の設定からさらに調整可能箇所を増やすべく、目立たない部分の最小値をマイナス値とした【HW-Kt】は

  • 以下の部分を「−3%」とする
    • 括弧類の内側
    • 丸括弧の外側
    • 読点(コンマは除く)の前
    • 区切り約物・和字間隔・行頭禁則和字・平仮名・カタカナ・全角数字の前後
  • つまり、丸括弧・区切り約物・和字間隔・行頭禁則和字・平仮名・カタカナ・全角数字は少なくとも−6%、(丸括弧以外の)括弧類および読点(コンマは除く)は−3%の調整可能値をもつことになる

これらの設定8種を含むInDesign CS4の.inddファイルとCS3用に書き出した.inxファイル(MacOSXの標準zip圧縮ファイルに同梱)は以下からダウンロード可能*5


akiryou_HW_201109.zip 直 アイコンをクリックするのがベター

※1002版の設定もすべて残してある。あとはご自由に……

このブログ上で “私の「文字組みアキ量設定」”と題して公開するのもこれで4回目となってしまった。
もちろん最近のものほどブラッシュアップされてはいるのだが、「なぜ、そんなに変える必要があるの?」という声も聞こえてきそうではある。
それもこれも自分が組み上げたモノを「これでいいのか?」と入念に確認・再検討すればこそのこと。言い換えれば、InDesignという道具のデフォルト設定を甘んじて受け容れるのではなく、その機能/制限の中でよりよい結果を招く方法を模索・追求しての結果……と考えている。
もちろん「これ!」という決定版ができればそれに越したことはないのだが……やはり、日々進化せざるを得ないのである。
とはいえ、“デフォルトの「行末約物半角」で十分”と宣(のたま)う書籍組版の関係者も「我が関西」にはおられるという話も耳に届く……そんなオバカさんには理解できないであろうこのアホな行い……かといって「わかる方にだけわかってもらえればそれで十分」というわけでもなく……難しいところ。

……というわけで、「文字組みアキ量設定」をカスタマイズする際の何らかの参考(ヒント)になれば幸いである。


今連載の最後に……

今回が最終回……長かった。誰も褒めてはくれないので、我ながら「よくやった」と褒めておきたい*6
何より、続けてお読み下さった方がおられましたら、ひとりよがりとも思える長い連載にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。
もし、この設定をお使いになって(あるいはご自分で設定されて)、思いがけない不審な挙動や設定の明らかな破綻など、お気づきの点がありましたら、ご報告・ご教示いただけると本人は喜びます。
もちろん、可能な限り修正するつもりですので、よろしくお願いします。
※コメント欄でも結構ですし、左のプロフィール欄から直接メールをくださっても結構です。

*1:この段落少々書き替え…20110919

*2:この数値は書体によって変わってくるだろう。考え方の一例としていただければ幸い。また、段落先頭も同様に設定すべきではあるが、(アキ量設定で)1字下げをする場合は、100%を94%などとする必要がある等々……煩雑になるので各自ご検討いただきたい

*3:私の知る範囲では延ばし処理に際してアキ量を割り振る基準は最適値と最大値との差。この場合は、100%を1とした場合には0.5という比率でアキを割り振る。ちなみに、ツメる場合も同じく最適値と最小値の差を基準に……これが挙動の不適切な優先度を破棄して最小値の多寡でランク付けすることにした最大の理由

*4:変更箇所はもうおわかりでしょうが、念のために……「後ろの文字クラス/中点類」の「対:段落先頭」を「25%」に(あるいは「前の文字クラス/段落先頭」の「対:中点類」……です

*5:一応、作例に使用した【HW-J】と【HW-K】を元に段落字下げを各種変更した設定は残してあるが、【HW-Jt】および【HW-Kt】を元に新規に作成する方がイイと思う

*6:ちょっと気になって数えてみれば、この連載中にアップした画像は100を超えていた。pdfに貼ったモノも含めると……「アホちゃうか」という声が聞こえてきそうな……