段落行取りと段落境界線
段落境界線を利用して小見出しなどにデコレーションを施す例はよく見られるが、少しややこしい「段落行取り」を適用した複数行の小見出しの場合の計算方法を例示しておく。
※作例はInDesign CS4(ver.6.0.6)の場合であり、CS5では挙動が異なる(末尾に記載)
まず、段落境界線はどこを基準に生成されるかというと……
- グリッドは20Q、グリッド揃えは仮想ボディの中央
当該テキスト(段落の最大サイズ)の仮想ボディの下端を基準に生成され、(横組の場合)前境界線は上に、後境界線は下に線幅分延びることになる。
例えば、20Q/行送り30Hのを基本とする本文グリッドに、2行の小見出しを28Q/行送り34Hで、本文(20Q=5mm)の1字下げ3行取りで挿入し、その行頭に本文3行分の天地(30*2+20=80H=20mm)で、2.5mm幅のアミ30%の飾りを入れるとする……
- 5mmのインデントを設定し、3行取りとして段落行取りを適用して、段落内改行(Sift+Return)
- 段落境界線/前境界線を設定
- インデント(5mm)分だけフレームをハミ出していることに注意(段落行取りが原因かと思われる)
- 線幅を20mmに
この場合のグリッド3行分との関係はというと……
- 段落境界線の下端は3行分の天地20mmの上から2.25+7=9.25mmの位置にあることになる
- 20mmのセンター(10mm)から小見出しの行間(6H=1.5mm)の半分(0.75mm)を差し引いた位置と考えても同じ
なので……
- 20−9.25=10.75mmをオフセットに設定
行頭に揃えるために……
- インデントの5mmをマイナス
ここで、幅を2.5mmにするために……
- 80−2.5=77.5mmを右インデントに
ダメなので……
- 77.5+5=82.5mmを右インデントに
これで完成。
ちなみに、段落行取りをした場合の段落境界線は……
あくまでも段落境界線なので……ということか。
これらの挙動さえ理解しておけば色々なバリエーションは簡単に作成できる。
※ここまではCS4での挙動
この作例ファイルをCS5(Ver.7)体験版をインストールした別の本体で開いてみると……*1
段落行取りが適用されたテキストにおける段落境界線の(テキストに対する)インデントの扱いが変更になっているようで、先の最終的な完成形は……
ご覧のようになってしまう。
これは重大な変更といえる。(体験版なので断言は出来ないが)*2このようにインデントの扱いが変わってくるのであれば、ver.を跨いで開いた場合に事故が起きるのは必至。面倒ではあるがスペースなどでインデント分を調整した方がイイのかもしれない*3。
※このCS5の挙動の方が理屈には合っており、CS4での挙動はバグともいえるモノだと考えるが、今さらフィックスされるワケでもないし……。