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均等ツメ(アケ)組みの注意点

フレームグリッドを利用した均等ツメ(アケ)組みは意外と使われることが多いようだが、注意点を幾つか。


文字サイズの変更について

作例のように、文字サイズは20Qで字間−2H(=2Hツメ=字送り18H)のフレームグリッドで、文字サイズを18Qに変更したとしても、グリッドと文字の送りが揃うワケではない。
設定画面のフォントは異なっているが別に意味はない(単純ミス、筑紫明朝L)



なぜなら、フレームグリッドではデフォルトで「グリッドの字間を基準に字送りを調整」がONとなっており、その字間設定(この場合−2H)に依存してしまうから。



もし、文字サイズのベタ送りが必要な場合は、文字パネルメニューの「グリッドの字間を基準に字送りを調整」のチェックをOFFにする必要がある*1



OFFにしない場合は以下の通り……



それぞれ、(トラッキングで)18Qの2Hツメ相当(−111/1000em)、24Qの2Hツメ相当(−84/1000em)に設定したモノとほぼピッタリと重なり、大きくしても小さくしても−2Hという影響は変わらないことが見て取れる*2
つまり「グリッドの字間」(この場合−2H)を基準に字送りを調整された結果といえる*3


分離禁止文字(3点リーダーなど)について

次に、(均等ツメなので)処理に困る3点リーダーなど分離禁止文字の挙動を確認しておきたい(少し複雑でややこしい)。


まず、先と同じように、文字サイズは20Qで字間−2H(=2Hツメ=字送り18H)のフレームグリッドに、禁則処理セットの分離禁止文字にデフォルトで登録されている3点リーダー(U+2026)と2点リーダー(U+2025)、そしてEMダッシュ(U+2014)、加えてホリゾンタルバー(U+2015)*4を入力。
次に、その部分を18Qに変更し、さらに、その部分のみ「グリッドの字間を基準に字送りを調整」のチェックをOFFとしてみた。



  • すべてグリッドに合わせて収まっているのは一番下のグループのみ
  • 図中に「2字目を1H上へ」と記してあるが、正確にはU+2014と+2015は2H上……単純ミス(後続の拡大図では修正して1Hとしてある)


各々の分離禁止文字前後部分のみ拡大し、数値を添えたのが以下の画像……
(字間が判断しやすいように前後の文字を●に変更し、下線を付けた)
※2012.08.16画像差し替え


20Qママの場合

  • 3行目のEMダッシュ(U+2014)だけがツメを解除されベタの状態といえる*5
  • それに比べると、1・2行目の3点リーダー(U+2026)と2点リーダー(U+2025)は、リーダー間はベタになっているが、左右は1H(−2Hの半分)ずつツメられている*6(U+2014とは2Hの誤差)
  • 分離禁止文字に登録されていない4行目のホリゾンタルバー(U+2015)は、当然のこと、他の文字と同じように18H送りとなっている(U+2014とは4Hの誤差)


18Qに変更した場合(グリッドピッチと同じ)

  • これも3行目のEMダッシュ(U+2014)だけがベタの状態といえる
  • 3点リーダー(U+2026)と2点リーダー(U+2025)は、18Qにはなったものの、(上の例と同様)左右は1H(−2Hの半分)ずつツメられている(U+2014とは2Hの誤差)
  • ホリゾンタルバー(U+2015)も、18Qにはなったものの、「グリッドの字間を基準に字送りを調整」が効いているので、16H送りとなるだけ(U+2014とは4Hの誤差)


18Qで、「グリッドの字間を基準に字送りを調整」のチェックをOFFにした場合

  • EMダッシュ(U+2014)以外はすべて上の状態から文字の位置が動いた(チェックのOFFにより不要なツメが解除されたということだろう)
  • ここまでしてやっとすべての挙動が同じになったといえる
  • 尚、ホリゾンタルバー(U+2015)を分離禁止文字に登録した場合の挙動は、3点リーダー(U+2026)などと同じことを確認した(決してU+2014と同様ではない


フレームグリッドを利用した均等ツメ(アケ)組みにおいて、分離禁止文字同士の字間はベタの状態にはなるが、隣接文字に対しては2種類の挙動があるということを頭に入れておきたい。この挙動自体には大いに疑問があるが、深くは追求しないでおく*7
いずれにしても、(困った挙動は無視して)グリッドの字送りに(分離禁止文字の)文字サイズを合わせて、「グリッドの字間を基準に字送りを調整」のチェックをOFFにするのが手っ取り早いと思う。
尚、均等アケ組みの場合も挙動(動作原理)は同じ(簡単に検証済み)。


ルビについて

これについては、以前の記事「均等ツメのルビ設定にご注意」をご参照願いたい。

*1:当然、行揃え設定(行頭行末揃えなど)の影響下にあり、それによっては字間に調整が加わることもある

*2:赤の文字は右に表示の文字パネルの設定で作成し、判別し易いように少しズラして置いてある

*3:もちろん字間設定が±0ならなんの問題もない

*4:私の環境ではU+2015で表示される字形を2倍ダッシュに利用することが多い(画面をご覧いただけば判るが天地位置の問題。その長さも含めて、書体によっても異なる)。※情報パネルには分離禁止文字と表示されるが(実際は)デフォルトでは登録されておらず、分離禁止の禁則対象文字ではない

*5:厳密に言えば隣り合う文字とはベタではないが……

*6:「グリッドの字間を基準に字送りを調整」が効いているということか?

*7:長調整においてもこの2グループの間には理解できない挙動の差があるが、これもここでは触れずにおく