IllustratorやInDesignの「上付き文字」「下付き文字」
IllustratorにもInDesignにも文字パネルメニューに「上付き文字」「下付き文字」があります。
※OpenTypeフォントの機能とは別です。
- 左:Illustrator
- 右:InDesign
それぞれにデフォルトで設定されている「サイズ(=縮小率)」「位置(=ベースライン移動比率)」の数値は同じです(共に親文字を基準にした比率)。
- 左:Illustrator ファイル/ドキュメント設定/文字オプション
- 右:InDesign 環境設定/高度なテキスト/文字設定
しかし、その適用結果の見映えには大きな隔たりがあります。
- 上(青):InDesign
- 下(赤):Illustrator
- (共に)文字揃え=仮想ボディの中央
ここで、重要なのは共に「文字揃え=仮想ボディの中央」としてあるのですが、Illustratorの方はそうなっていないようだということです(上下の移動比率が同じなので仮想ボディの中央揃えからの数値だと考えるのが自然でしょう)。
この状態で、Illustrator上で「文字揃え」を変更しても何も変化はありません。
InDesignではこの状態でも「文字揃え」が効きますので、「文字揃え=欧文ベースライン」での結果も合わせて表示してみましょう。
ご覧になると明らかなように、デフォルトの「位置(=移動比率)」の設定値「33.3%」は上下とも同じ値なので「文字揃え=仮想ボディの中央」からの値と考えるのが自然で、InDesignはそのように設定ができるのですが、Illustratorの場合は「文字揃え=欧文ベースライン」からの移動比率として適用されてしまっているのだということがわかります(先に記した通り「文字揃え」のオプションも効きません)。
※「位置」の設定値を「0%」にすれば、Illustratorでも「上付き文字・下付き文字」に文字揃えが適用可能です。
ここまで判明すれば、Illustratorでの適用結果をInDesignに揃えるようにカスタマイズすることは簡単ですね(殊更揃える必要もないといわれればその通りですが…)。
※以降の記述は欧文ベースラインが仮想ボディの下端から120/1000em上の位置に設定されている一般的な和文フォントについて有効です。
InDesignの場合、縮小率58.3%の文字を仮想ボディの中央で揃えて33.3%ずつ上下させているのですから、「(100−58.3)/2=20.85(%)」で仮想ボディの上・下に揃うハズですが、さらに少し「33.3−20.85=12.45(%)」上・下にズラしてあります。
Illustratorの場合は欧文ベースライン揃えからの数値に変更する必要がありますので、仮想ボディの上に揃えるには「88−88×58.3%=36.696(%)」、下に揃えるには「12−12×58.3%=5.004(%)」となり、これに12.45(%)加えれば、InDesignとほぼ同じ位置となる計算です。結果的には、以下のような設定になります。
- 左:Illustrator CS6、右:CC2014
- 合計値は66.6%(=33.3%+33.3%)
適用してみましょう。
さらに、先のInDesignにコピー&ペーストして重ねてみましょう。
ほぼピッタリと重なっていますね。
※蛇足になりますが、(両アプリ共)親文字とのズレ幅を軽減したければ、「位置」の値を同量ずつ減らせばイイのですし、12.45%マイナスすれば「仮想ボディ」に揃うことになります。
尚、「文字サイズ(=縮小率)」を変更して、かつ仮想ボディの上・下に揃えたい場合の「位置(=ベースライン移動比率)」も簡単に計算できます。
InDesignの場合:「文字揃え=仮想ボディの中央」から考えるなら…
「上付き文字」「下付き文字」共に (100−縮小率)/2 の数値を
Illustratornoの場合:「文字揃え=欧文ベースライン」から考えて…
「上付き文字」 88−88×縮小率
「下付き文字」 12−12×縮小率 の数値を
それぞれ「位置(=ベースライン移動比率)」に入力すれば大丈夫です。
先にも記したように、InDesignでは「上付き文字」「下付き文字」にも「文字揃え」の様々な設定が適用可能ですし、Illustratorでも「位置」を「0%」にした場合は「文字揃え」の設定が効きますので、結局、「位置」を「0%」にして「文字揃え」で上下の位置をコントロールすることも可能です。が、その際にもしも行中に揃える対象文字より大きなサイズの文字があると位置が狂ってきますのでご注意ください。
※文字揃えは行中の最大文字サイズを基準に揃えられるということが原因です(もちろん「仮想ボディの中央揃え」だけはその限りではありません…「仮想ボディの中央」は文字サイズに関係ありませんからね)。
やはり親文字との関係を親文字を基準とした比率で固定できる「上付き文字」「下付き文字」で、サイズや位置を適切に指定して運用するのがベターでしょう。
●当ブログ内関連ページ
→ 上付き文字・下付き文字