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合成フォントでの縦組み本文中の正立欧文・英数字の処理

さて、合成フォントでの縦組み中の英数字や正立欧文の処理に関してですが……

話がややこしくなりますので、以下では縦組み中の「欧文も数字も正立させて使用する」場合とします。つまり、欧文は「PTA」などの頭字語しか出現しないものと考えて……

InDesignのデフォルトフォントは小塚明朝 Pro-Rですが、合成フォントのデフォルトは以下のようになっています(環境はOSX上のInDesign CS6)。



まずはここで、「縦中横」と「縦組み中の欧文回転」の挙動を再確認しておきましょう。
当然のこと、半角入力でないと適用されませんので、半角入力して挙動を確認してみましょう*1


  • 「文字組アキ量設定」はデフォルトの「行末約物半角(和欧文間隔=25%)」
  • 「縦中横」には「和欧文間隔」は適用されません
  • 和文書体ママの場合は「縦組み中の欧文回転=ON」では和欧文間隔は適用されます
  • 合成フォントの場合は「縦組み中の欧文回転=ON」でも和欧文間隔は適用されません


これなら(合成フォントの場合は)「縦組み中の欧文回転=ON」で運用しても特に問題無いでしょう。
上記のどの場合も、半角欧文や半角英数字の途中では行末・行頭に分割されない仕様ですので*2必要な場合は強制改行を挿入する必要があります。

但し、合成フォントの「縦組み中の欧文回転」に「和欧文間隔」が適用されないのは、欧文書体との合成フォントに限るようで、他の和文書体の欧文との合成フォントではやはり「和欧文間隔」が活きています。→ 参考画像


ここで問題になるのは、欧文や英数字がやや小さく見えるので、
その部分のみのサイズを変更(拡大)したいという場合ですね*3
試行錯誤の結果、何とか解決策を見付けました……以下の画像でご確認ください。


  • 普通は(右の2例のように)サイズ変更に伴い文字の送りも変更されてしまいます*4
  • しかし、左から2番目の例のように「特例文字」としてサイズ変更や比率変更をするとセンター文字の中心点から拡大/縮小」のチェックが有効に可能となります(設定画像では最下段:サイズ変更でもOK)

意外と簡単で、少々拍子抜けしてしまいますが……。
なお、上記「特例文字」云々の部分…CC2014以降では「特例文字」としなくても「半角欧文」「半角数字」での設定ができるようになっています。今更ですが、追記しておきます。(2018.08.04)


以上を簡単に纏めておくと……
欧文書体との合成フォントでは「縦組み中の欧文回転」を使用しても和欧文間隔は適用されません
欧文書体を特例文字にすると「文字の中心点から拡大/縮小」のチェックボックスが利用可能となります CC2014以降は「特例文字」とする必要はありません
という何かと都合の良い2点ですね。
で、何しろ「分割禁止」になるのでご注意を……ということに尽きます。
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但し、冒頭の前提が覆り文中に寝かせて配置する欧文が頻繁に出現する場合は、このようなセンターから拡大した合成フォントは使えず、「縦組み中の欧文回転=OFF」で運用するしかないでしょうね。正立させる部分には「(自動)縦中横」を適用して、「結合なし」を字間に放り込んで1字ずつの正立を実現するしか手はないでしょう。



件の合成フォントを横組み中で使用すると以下のようになります(3例目)*5
参考までに……*6


*1:挙動をシンプルにするため欧文ベースラインは弄っておりません…悪しからず…

*2:もしや? と思い、「欧文泣き別れ」や「言語」などの設定を変更しても特に変化はありませんでした

*3:大抵はそういう判断になりますね

*4:比率変更が同比率の場合は強制的にサイズ変更になってしまうようですので、垂直/水平の比率は少し変えてあります

*5:「文字組アキ量設定」はデフォルトの「行末約物半角(和欧文間隔=25%)」

*6:なるほど、文字の中心点から拡大されているのがよくわかります…文字の送り幅としては拡大しない場合と同じですね