なんでやねんDTP・新館

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合成の括弧類に関して…

(「アンカー付きオブジェクト」の続きは少し後回しにして、少しだけ関連のあることを先に……)

全角以上の括弧類を作成するための(合成用の)括弧類はU+239B〜U+23B1に集中しています(画像は ATOKの文字パレット)。

これをそれぞれダブルクリックして InDesign上に直接入力してみました(小塚明朝 Pr6N-R:横組み)。

間にある縦棒(U+239Cなど)は繋ぎ用と思われますが、少し問題があるので削除し、

1文字ずつ改行を挿入して並べたのが以下です(行間アキは「0」)。

これを「縦組み」に変更してみると……

  • 縦横変換されます


ここまでは「小塚明朝 Pr6N-R」でしたが、全選択して「小塚ゴシック Pro-H」としてみますと……


  • 最後のU+23B0とU+23B1はCIDコードが16312と16313なので、Adobe-Japan1-5(Pt5)以上のフォントでないと実装されていません…なのでこの部分は変化はありません(小塚明朝 Pr6N-Rのママ)

さらに、全選択して「A-OTF A1明朝 Std」としてみますと……

  • 何の変化もありません(強いて言えば、改行マークだけは変更されています)

しかし、少なくともU+23A7〜U+23ADはCID8174〜8180の辺りにあり、Stdでも実装されているはずなのに何故なのでしょう。

ここで、字形パネルの書体を「A-OTF A1明朝 Std」としてCIDコード順にソートし、CID8174〜8180あたりを表示して確認してみますと……


  • 上:A-OTF A1明朝 Std、下:小塚明朝 Pro-B

「A-OTF A1明朝 Std」にCID8174の字形そのものはあってもユニコード)U+23ABに紐付けされていないことがわかります。つまり、U+23ABは「A-OTF A1明朝 Std」では表示できないと判断され書体が変更されないということです。(どうしても必要であれば、字形パネルをダブルクリックすれば入力は可能です…但し、タテに続けるには「縦組み」で、ヨコに続けるには「横組み」で…自動での縦横変換もできません)。


字形パネルの活用

もう少しツッコんで……今までは(主に)ユニコードでの直接入力でしたが、字形パネルから目的の字形をダブルクリックして入力する場合を考えてみます。
以下が、和文用の始めブレース(U+FF5B:CID680)を選択した状態での、「選択された文字の異体字を表示」とした字形パネルの状態です*1


  • 左から、小塚明朝 Pr6N-R、小塚明朝 Pro-R、A-OTF A1明朝 Std

同じ文字でも、フォントの種類によって異体字への紐付けが異なるのがわかりますね(例示した書体以外にも違うパターンがあることは確認しています)。
異体字が豊富に紐付けされている場合には、以下のように目的の字形をダブルクリックして置換できるのですが……

  • 右の例のように、縦組みで横長のモノを作成する際は、ダブルクリックする字形が判り難いかも知れませんが、縦長のモノと同じ字形をダブルクリックすると自動的に変換されます(反転した文字を選択した状態での字形パネルです)

そうでない場合は、ユニコードで入力するか、字形パネルを「すべての字形を表示」として、ユニコード順(Proの場合)やCID順(Stdの場合)でソートして目的の字形を探すしかありません。

つまり、字形パネルから目的の字形をダブルクリックして入力する際には、フォントの種類によっては、その字形に到達するまでの手間が変わってしまうということになるでしょう。
(誤解を承知で言ってしまうと……明朝系、ゴシック系、丸ゴシック系程度の括りで使用フォントを考えてもいいように思います)

冒頭で「少し問題がある」とした繫ぎ用の文字について

ほんの一例として以下の作例を用意しました。


  • 上から、小塚明朝 Pr6N-R、小塚ゴシック Pr6N-R

この例を見る限りでは、左から3・4番目のSQUARE BRACKETとゴシックの1・2番目(パーレン)以外はとても使えたものではないでしょう(画像をクリックすると別窓に拡大表示されます)。
フォントによって異なることは十分に考えられますから、(これらの繫ぎを)使う場合は拡大しての目視確認を心掛ける必要があると言えます。

作例末尾のU+23B0とU+23B1について

これらは、(先に記したように)CIDコードでは16312と16313にマッピングされていますので、Adobe-Japan1-5(Pt5)以上でないと表示できませんが……

ATOKの文字パレットの文字情報をみると、U+23B0は “UPPER LEFT OR LOWER RIGHT CURLY BRACKET SECTION”、U+23B1は “UPPER RIGHT OR LOWER LEFT CURLY BRACKET SECTION” となっています。
「左の上か右の下」、「右の上か左の下」ということは、上下を入れ替えることで「始め」「終わり」を切り替えることができるということだろうと推測できます。
ところが、(少し検証したところ)これらが上下の区別なく繫がるのはモリサワ純正の書体だけ……という残念な結果になりました*2

明朝系の様々な書体での組み見本を以下に掲げておきますので、ご参考に……


  • 本来は、上下を入れ替えることで括弧の向きが変わる……という実装を期待
任意の長さにする

最後に、ブレース(別名:CURLY BRACKET)を例に、任意の長さにする場合の、Illustratorでの作業例を掲げておきます(InDesignでも手順は同様ですね)。


  • ポイントテキストで「横組み・行間アキなし」で入力(これを縦組みに変更すると横方向に延びるブレースに置換されますが、アウトライン化してから回転しても同じ)
  • 最後は数値入力で移動してもいいし、矢印キーを数回叩いて移動しても…お好みで…

*1:欧文用のブレース(U+007BとU+007D)の場合は欧文イタリック字形が追加されたりしますが、大差はありません

*2:2字分丁度なので、意外と使い勝手はいいかも? なのですが…