InDesign互換ファイル(CS3→CS2)
先日のInDesign互換ファイル(.inx)で遭遇した件を、私なりに大まかではあるが検証してみた。
まずは試しにCS2で作成したファイルを
- 「基本段落」(左)はカスタマイズしてあるが、「段落スタイルなし(本来のアプリケーションデフォルト?)」から作成されるようで、その変更部分が羅列されている(行送りのみ「基本段落」適用後「自動→30H」に変更)。
- フレームグリッド用の段落スタイル(右)は「基本段落」を基準に作成したが、レイアウトグリッド(画像リンク)に合わせた各種の変更が加えられている。
- 左右とも文字サイズを変更している部分は200%相当のサイズ(26Qと30Q、以下同)。
CS3で開いてみた。
- 行送りの基準位置の表示が違い、上のCS2では「中央上」と表示されている。が、CS2では「仮想ボディの中央」を選ぶとこう表示されるようで、「誤植」のようなモノ。
- 基本的設定は引き継がれ、とくに問題はないように思う。
次にCS3で作成したファイルを、
- こちらはカスタマイズしていないので、フォント/日本語コンポーザー/文字組み/禁則/調整方式/行送りの基準位置/詳細字形等々は、(上のCS2での基本段落と違い)「段落スタイルなし(本来のアプリケーションデフォルト?)」が使用されているが、試しに「文字揃え」のみ手を加えた(CS2と同様、行送りのみ「基本段落」適用後「自動→30H」に変更)。
- レイアウトグリッド設定の画像はコチラ。
互換ファイル(.inx)で書き出し、CS2で開いてみた。
- CS2側のカスタマイズ後のアプリケーションデフォルト(上図参照)との相違は、上で手を加えた「文字揃え」と変更は加えた訳ではないが設定の異なる「文字組みアキ量設定」のようだ*1。
- 当初は見落としていたが「文字送りの基準位置」はCS2側の設定に変わってしまっている。
- 左は「小塚-R」が「リュウミンL-KL」に置き換わり、右では「小塚-B」が(B-KLではなく)「リュウミンB」となってしまうのでこんなことに……。
- 左右ともに互換29字の文字列が「詳細文字形式:エキスパート字形」の影響を受けて置換されているのがよく判る。
で、CS3に戻って、すべてに「スタイルとのリンクを切断」を適用した後、新たに段落スタイルを作成/適用し、
書き出した.inxファイルをCS2で開いてみた。
- とくに問題はないように思う。
つまり、「基本段落」のカスタマイズにすべての元凶がある*2と思われる。よって「基本段落」は(本来の)アプリケーションデフォルトのママ、触らないのが互換ファイルを上手く扱うコツではあるようだが、実作業上はそうもいかないのが実情でもある。
で、対処策としては、すべて「スタイルとのリンクを切断」を適用した後に互換ファイルを書き出すこと、あるいは段落スタイル設定時の基準に「基本段落」を使用しないことがキモである*3。
後者の場合、新規段落スタイルの設定画面ではとりあえず「基準」に「基本段落」が選ばれるであろうが、それを「段落スタイルなし」にしても「基本段落」に加えていたカスタマイズは引き継がれるので大した手間ではないだろう(下の画面はCS2の例)。
以下、関連リンク
「互換ファイルの効用」
「InDesignのソフトの互換性・リビジョンの違い」
「InDesign CS3からCS2への下位互換書き出しでの注意点」
「旧バージョンファイルとの互換性はありますか(InDesign CS4)」
「DTPなんでもボードの最近のスレッド」