「写植の時代」展のことなど…
大阪DTPの勉強部屋のサイトに「写植の時代」展の告知がされた。
チラシのpdf → ちらし-MC6.pdf ※アイコンクリックがベター
※印刷して配布など、ご自由にお使いください。
主宰者のえむさん@workstationmが精力的に準備に動き回っておられるが、私も元は写植オペレーター……イッチョカミをして、微力ながらお手伝いをさせてもらっている。
その関係で、ツィッター上でも最近は写植に関連した呟きが多くなっていた。
以下、最近の私のツィートを中心に(twitter上で多用する三点リーダーが表示されないが……)。
- 末尾の「URL」クリックで画像表示あるいはpdfリンク、アイコン右下の日付クリックでtwitterの保存(details)画面を表示
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●12/6 えむさんから取材同行の打診あり
明日、懐かしいMC-6に再会でけることに動いたらエエけど、アカンやろな
おお、そうだった昼からMC-6を見せてもらえる
MC-6かと思ってたけどちょい前の機種でしたね RT @workstationm: 写植機 MD-M型。機械としても美しいと思う。残念ながら電源は入らないけど歯車はカチカチ動いた!
モリサワMC-6型写植機の横送りは「右から/左から」を切り替えながらゼンマイ様のモノを巻き上げる必要があったと記憶している昨日のMD-M型は(構造が違うのか、方式が違うのか)どのようにして巻き上げるのか判らなかったただ目の前にMC-6型があったとしても判らないかもしれない
なんで残ってるのか知らんけど見開きトンボ付きの電算写植の印画紙が20頁分出てきた
そうか、あれは昨日の手動機に載っていた文字盤か簡体字の文字盤(PRC-BG-B)かな
- チラシ案のpdfを見て……(現状のモノではありません)。
手動写植を操作していた頃数行に亘るツメ打ちをジャスティファイする場合には、空印字し行末の残りスペースをSPボタンで分割する仮名の前後は1回、読点は2回、句点は4回というような割合でスペースを割り振っていたこれなら1:2:4だが、1:3:6だったかも知れないという朧な記憶
もちろん空印字の際には隣り合う字の形状によっては食い込みツメ(いわゆるペアカーニング経験値に依存)を施すが、それは機会が記憶してくれるので、実際に印字する際は文字を拾っていくだけ以上、(マイコン搭載、空印字機能付き)手動写植機の本文ツメ打ち私の場合
「機会」は「機械」の誤植でございます
これだけ見せられても何のこっちゃという方が大半やろなぁ URL
さすがー、ほぼ正解単位はn/32em但し基準は30Hの枠からこの数値を詰めても2Hは残る当時はサイドベアリングという用語さえ知らず RT @koikekaisho: サイドベアリング、単位はエム
当時、英字フォント(前付き)用などに16Q基準の他Q数への換算表があった16Qで12H送りの場合、12Qなら9H、10Qなら8Hという具合最小駆動単位が1Hなので切り上げないと詰まり過ぎる(ということだったと思う)32Qであらかじめ印字しておけば換算は割と簡単だった
本格的に動きだした RT @workstationm: 「すぐスール」へ「写植の時代」展ちらし印刷発注完了! URL
そおいえば東京に1年間ほどの長期出張中にスピカを触ったのを思い出した当時は大阪でモリサワのんを触っていたが、割とすんなり操作でけた
- チラシを流した。
反応はイイパンフの原稿もしっかり書かなアカンな寄稿によるパンフも作成し販売する予定(これが売れな色々とシンドイねん)「写植の時代展」
- 多くの方がリツィートしてくださった。
アイデアはすべてえむさん(@workstationm )チラシは佐々やん(@sasaki808 )「写植の時代展」
皆様ありがとうございますリツィートの件
ディスプレイが搭載される前の手動写植機で見出しなど大きなQ数(文字サイズ)のツメ打ちは、一度実際に印字/現像という手順を踏んでから、実際の印画紙の字間を測ってツメ量(歯送り戻し量)を決め、再度印字していたというと皆一様に驚く
(小Q数の)本文に関しては数日前にツィートしたように予め32Qで印字したモノを測っておき、16Qベースの換算表で送り量を決めていた最小駆動単位が1Hの非マイコン搭載機でツメ文字盤のない場合 @iki_osu
2011-12-14 11:49:24 via YoruFukurou to @iki_osu
ただし、本文ツメ組み例えば完全箱組(=最終行も行末まで)の12Q/20字詰めの左右の場合(11Qでは22字程度入るので)原稿は22字で書かれており(約物は半角扱い)、12Qを11Hで送り、漢字部分に1Hプラスし、その分を小書きの仮名などで相殺するという方法もあった私の場合
手動写植機の変遷と共にツメ打ちの方法、精度も変遷していった先のチラシにあるMD-M型には(MC-6型には歯車の部分にあった)1H戻しの機能はないようだった
先の1Hヅメを元にする方法はオーディオ家電関係がメインの広告代理店からの仕事での話カタカナ語が頻出するからそういうコピーの書き方が有効だったのかも知れない
そおいえば写研の手動機用文字盤は周りに紙テープを貼って大きくすることでモリサワの本体のサブ部分に嵌め込めた写研に転向した際には必要な「カナミン」と「クーパーブラック」などを写研に載るようにカットして写研のサブ文字盤の枠に嵌めてもらったこんなこと言うてエエのかなぁ
ガラスに挟まれた原字の大きさが微妙に異なる(というのをどこかで読んだ)ことはかなり後に知ることになる
- 原字というより字母といった方がイイかもしれない。
モリサワに転向した際に残したかったのは「カナ民」と「クーパーブラック」、そしてMB101「民友社かな」は微妙にデザインが違ったし、「クーパーブラック」は写研になかったハズ。MB101も見出し用に根強い人気があり、似た書体は写研にはなかった。
- 後に写研からもクーパーブラックは発売されたが、転向当時の話。
完箱機能っていうのがあったのかモリサワ ROBO15X
楽しみやなぁ(私がおぢんです言わんでエエか) RT @workstationm: すごい大発見! 稼働してる手動機MC-6型があった! すごいよ〜 明日おぢんと取材に行く! 展示会に借りれるかなぁ
稼働してるとゆうことは文字盤も楽しみではある
私が写植を諦めたの原因も感材(印画紙)の入手難だったそれと(あまり使わない)現像液のヘタリの速さ現像液(パピトール)は現役であるみたい
ちょっと別のモンを探してたんやけどリョービのサブプレートが出てきたでござる
そおいえばツメが甘いので切り貼りした逆にツメ過ぎやから切って離したと嫌味のように言われた経験はある(それを嫌味ととるのではなく)そういうことを覚えておいて次の機会にはツメ量を微修正する相手(それぞれ)の好みに合わせて写植手動機でのツメ打ち
「ゆるツメ」「ややツメ」「ツメツメ」という指定があったとしても、その基準は指定するヒトにしか判らへんせやから指定するデザイナーごとに好みみたいなモンを把握しとかなアカンかった写植のツメ打ち
ちょっと写植機(MC-6型)見せて貰いにでっぱつ
実際にMC-6型は現役で動いていた先方は年内に処分をと考えておられたが来年の2/16までは保管していただくことになり、手入れをしておくと仰っておられたさらに「嫁に出す気分」だとシミジミと、でも嬉しそうに言ってくださったということは暗室が乞うご期待!写植の時代展
- 普通のモノよりも横長扁平(と感じた)の珍しいメインプレートもあった。書体は「淡古」「太楷書」「隷書」などと記され、印鑑屋さんが使っていたモノを引き継いだといっておられた。
先の手動写植機MC-6型を見せていただいた事務所で「たて組ヨコ組」冬・第27号(1990)をお借りしたその中に山本太郎(@ragged_right)さんの「東西活字講座・7 タイポグラフィの三つの空間字間、語間、行間」という文章を発見欧文組版の要点を語っておられる
RT @workstationm: いや〜 感動したわ。昭和53年製MC-6型手動写植機、動いてた。印字出来る。「写植の時代」展に展示して稼働させます。来場者は写植が打てますよ〜 URL
●12/20
RT @workstationm: 「写植の時代」展で版下作成もやります! RT @monokano: @ako_y @workstationm トレペに色指定もあるといいですね。デザイナーはみんなこうやってたんだぞーと。
時間潰しに読んでいる『写真植字の15章』, 大塚亨, 印刷学会出版部, 1981
- 以下、同書からの引用。
組版ルールとは,一言でいえば,読者の目がよどみなく円滑に文字の上を流れていく助けをするためのものである。したがって,もしデザイン的な視覚上の効果にのみ重点を置く,読ませるためよりも見せるための組版であるならば,組版ルールは既に存在意義を喪失していることになる。(前掲著, 88頁)
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 22
- 「前掲著」は「前掲書」の誤植。
ただここで忘れてはならないことは,組版ルールを設定する目的は,ただ単に製品の品質にかかわる問題のためばかりでなく,それによって作業効率を向上させるための指針とすることも重要な目的としている点である。(『写真植字の15章』, 88頁)
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 22
読者に文字の存在を意識させないで,その書かれている内容に入り込ませ,読者をしてその内容を的確・迅速に把握せしめるような文字であり,組版であるのが,真に秀逸な文字であり,組版であると確信するものである。(『写真植字の15章』, 89頁)
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 22
その意味で,新書体やツメ組などは,これでもかこれでもかとムキになっている姿を連想させられる。組版ルールは,船頭のさす棹のようなもの(略)流れに身を任すためのものであり,流れを助ける一方で,流れに翻弄されないための,一つの手づるとして存在すべきものであると思う。(前掲書, 89頁)
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 22
- 以上、主に頁物の本文組みについての記述。
「原稿代」は「原稿台」とお読みください
【字母のサイズ、実字面のサイズなど……】
●12/15
@works014 それはレンズの倍率が線形かどうかの差異のことだと思います。どこに記述があるかは私も憶えていません。大塚享氏の『写真植字の15章』に書いてあるかどうか。確認していません。
2011-12-16 09:16:08 via Janetter to @works014
- Adobe Systemsの山本太郎さんからいい情報をいただいた。
@ragged_right 情報、ありがとうございます。とりあえず、『写真植字の15章』を発注してみました。
『写真植字の15章』(大塚 亨, 印刷学会出版部, 1981.9)には、第2章 写植機の種類/メーカー別分類の項(13頁)に「写研の字母は17級,モリサワは16級(そのため写研とモリサワとでは主レンズの拡大・縮小率が異なる),…」と記されている。なお、配列ピッチは共に5mm。
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 19
@works014 拡大・縮小率の構成が線形か非線形かの違いもあったと記憶しますが、どこかに書いてあるかどうか。
2011-12-19 09:17:14 via Janetter to @works014
@ragged_right 記述のありそうな部分をざっと読んでみましたがないようです。
以下引用する…級数の寸法は,仮想ボディの天地左右の寸法を表しているのである。実際の字面の寸法は字面寸法と呼ばれ,通常文字の字面寸法の上限を標準字面寸法と呼ぶ。標準字面寸法は32級くらいを境として,(続く) @ragged_right
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 23
(続き)それ以下の級数では仮想ボディ寸法の89.5%程度であり,級数が大きくなるに従ってその比率が増し,62級以上では91%程度となる。(『写真植字の15章』65頁, 大塚亨, 印刷学会出版部, 1981) @ragged_right
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 23
つまり…写植の仮想ボディに対する実際の字面寸法は級数サイズに正比例はせず、大級数ほど字面率は高くなっていたということ…例えば80Qは16Qの5倍の実字面ではなかった(送り量は5倍)…どの写植メーカーのことであるのかという説明もなく、「32級くらい」ときわめて曖昧な記述ではあるが…
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 23
先の(写植の場合)大級数ほど字面率は高くなっていたということは、体験として実感している(写研)し、「活字は大きなサイズほど字面率は高く、それに倣った」というニュアンスの文章をメーカーの情報誌(紙)で読んだ覚えがある(たしか写研…)…ではモリサワは?… @ragged_right
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 23
※並行して山本さんに以下のようなDMを送っていた……
D ragged_right いつもお世話になります。以前の写植の文字サイズの件…「線形」「非線形」というのはmentionを付加して呟いたことでしょうか? 「線形」という言葉が十分理解できておらず申し訳ありません。割り付け計算の「仮想ボディ」の項に書かれておりましたので、辿り着くのに苦労しました。
- 関連した山本さんのリプライ
@ragged_right 了解。先の引用から…(あるメーカーでは、活字のそれに倣って)レンズの倍率を微妙に変えることで、大きな級数ほど字面率を高くすること(「非線形」)を実現していた(但し、書体デザインに起因する字面率の考え方とは異なる)…という理解で大丈夫ですね。
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 23
- 私のリプライ
※上記の件:ツィートした通り、(非線形だということの)実感は写研のPAVO-KYを操作していた頃の体験としてはあるが、それを証明する資料は手元にはない。(これもツィートした通り)メーカー名の記載もなく曖昧なので、この記述が正しいものであるかどうかという判断は保留せざるを得ない(巻末に参考文献の表記はある)
また、別件では以下のようなツィートもしていた……
●12/15
【質問】モリサワの会長さんが原字を書いたという「快調」という書体があったように記憶しているのですが…どこにも情報がない…どなたかご存じありませんか?(時期はミヤケアロー発売の前後と記憶)
— なんでやねんDTP/おぢん (@works014) 2011, 12月 15
これに関しては確かな筋からのともあれ、まだ時間はあるので準備万端怠りなく……盛会を祈るばかり。
●以下、2011.12.27追記、28都合により微修正
上記の実字面に関して写研の関係者に問い合わせていたところ、今朝FAXでお返事をいただいた。
級数毎に仮想ボディ寸法と標準字面寸法を表にしたモノで、その資料を換算すると、標準字面の比率は(抜粋)……
8級の場合:1.79/2.00=0.895
10級の場合:2.24/2.50=0.896
16級の場合:3.58/4.00=0.895
28級の場合:6.26/7.00=0.8942857
32級の場合:7.17/8.00=0.89625
38級の場合:8.55/9.50=0.9
50級の場合:11.31/12.50=0.9048
62級の場合:14.08/15.50=0.908387
80級の場合:18.20/20.00=0.91
100級の場合:22.79/25.00=0.9116
となっており、上の引用部分であげられている数値とほぼ一致する*1。
※28級までは仮想ボディ1mmに対して字面寸法を0.894mmとして計算したモノと(ほぼ)同一となっていることも表記されている。
なお、途中経過の報告と電話口で仰られ、この数値を何を元に設定したのかは引き続き調査をしていただいていることと思う。
何か判ればまた報告する。
●以下、2011.12.28追記
字面が比例関係になっていない経緯についての調査結果もご連絡いただいた(あくまでも、個人的に関係者に聞いた結果として……とのこと)。
以下、文意を変えない程度に書き替えて転記しておく。
(昭和38年に制定されたようです)
1. 当時は、見出し用書体もなく写植書体も少ないため、本文用書体を拡大して使用していた。このため大サイズでは文字が弱々しく見えたので、これを解決するため大サイズでは仮想ボディに対して字面を大きめに補正する必要があった。
2. 大サイズ活字は太い書体で作られるだけでなく、大サイズ活字になる程(字面も)大きくなっていた。
3. 写植では文字だけでなく、作図的図形(組み数字、数式、化学式など)も使用され、これら図形が多用される小サイズでは字面の比率を揃えることが不可欠であった。
1.〜3.の理由で32級を境に倍率を異ならせる方式とした。
その後、昭和62年には写植機がイメージセッターとなり、文字印字だけでなくCADデータなどの図形も出力し、印字する文字種も図形・マークとして扱われることが多くなった。そのため文字の印字サイズに比例関係が必要となり、100級を超える字面サイズは比例関係とした。
*1:最大が250級なので電算写植のモノだと思われるが、手動機もこの数値を元にレンズを調整するということだったこの資料は手動機のモノとのこと。ズームレンズを使用して250級まで印字可能な機種があったようです。…提供者からの情報により訂正