私の「文字組みアキ量設定」_1002版
記事(及び画像)中で【行末約物】の扱いについて「全角/半角浮動」「全角/半角(浮動)」などと表記してあるものは「状況により全角/半角の二者択一」という意味であり、決して中間値を採るという意味ではありません。私の(用語的な)理解不足による不適切な表記に他なりません。ご寛恕くださいませ。
※InDesignの文字組みアキ量設定の基本設定画面の「50%(0%〜50%)」などは「最適/50%、最小/0%、最大/50%」ということで中間値を許容します。しかし、行末設定に現れる「50%/0%」は「最適50%/最小0%」、「0%/50%」は「最適0%/最大50%」の二択で中間値は採りません。
※「〜」の有無で見分ければいいでしょう(もちろん、「固定」は固定)。
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最新版は……2011年9月に 私の「文字組みアキ量設定」_1109版_01 から 私の「文字組みアキ量設定」_1109版_結 までの7本の記事により詳細な手順を掲載している。また、 私の「文字組みアキ量設定」_1109版_オマケ・約物全角ドリの「文字組みアキ量設定」例・InDesignの文字組みアキ量設定の4大バグ も参考にしていただきたい。
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以前に公開した「文字組みアキ量設定」にマズイ部分があったので、優先度に関する考え方を修正し、他にいくつかのアレンジを加えた設定を追加したモノを公開する。
※InDesignCS3にて作成 コレ → HW_akiryo_new.zip 【アイコンをクリック】
※詳細は当記事の本文をお読みいただきたい(100223_少々加筆)。
その前に……
つい最近発売されたばかりの、大熊肇さんの新著『文字の組み方―組版/見てわかる新常識』(2010, 誠文堂新光社)をご恵贈いただいた。
ひょんなきっかけから、原稿段階のモノを読ませていただく機会があり、いくつか助言も差し上げた関係でお送りくださったのだろう、有難い。
- 作者: 大熊肇
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2010/02
- メディア: 単行本
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内容は大きく「タイトルや見出しについて」「和文本文組み」「欧文本文組み」「和文に欧文が混ざった場合」に分けられている。
その各々について実例を挙げて判りやすく解説されており、デザイナーであり毛筆のロゴも制作する大熊さんらしいこだわりが随所に顕れている。
「その他の資料」としてオックスフォードルールとシカゴルールの比較や、氏のブログでも採り上げられていた、「月曜会」の速読テストの結果分析やそのテストに用いたサンプル(見本)が添えられているのも興味深い。
組版に携わる方には、是非お手元に置いて参考にしていただきたい一冊として、ご紹介しておく。
さて、本題。
基本的な考え方はほぼ同じなので、以前の記事と重複する内容も含まれるが、以下に簡単に説明を……
●基本的な設定(HW_A)
デフォルトの「行末受け約物全角/半角」を基に調整の優先度を行末・行頭以外を「なし」にし、(主に)最小値と(一部の)最適値を調節する。最大値はデフォルトのママ*1(HW_A)。
【優先度の変更】
優先度はツメル場合はイイにしても、どうしてもアキを字間に割る振らなければならない場合にも効いてくるので、対「行末」及び「行頭」以外はすべて「なし」にする。
※以下の設定では区切りの強度を考えて最小値に変化を持たせている。
以前の設定では以下のようになってしまうことに、つい最近気が付いた。
ともにシフトリターンで1字分のアキを強制的に割り振るようにしたものだが……1行目は漢字と漢字の優先度は「なし」で、仮名関係は「3」となっていることが原因で、2行目は始め括弧類には優先度「3」が設定されているのに終わり括弧類には設定されていないという不手際が原因。これではアキマセン*2。
【最小値と最適値の調節】
JIS X 4051を(一部)考慮して、以下のように変更する(数字は最小値/最適値)。
- 行中カギ括弧類 25%(4分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
- 行中残りの括弧類 12.5%(8分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
- 行頭括弧類 0%(天付き)/0%(天付き)
- 行末括弧類 0%(半角ドリ)/50%(全角ドリ)※全角/半角
浮動 - 行中読点類 25%(4分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
- 行中句点類 50%(全角ドリ)/50%(全角ドリ)※句点は調整に使用しない
- 行末句読点類 0%(半角ドリ)/50%(全角ドリ)※全角/半角
浮動 - 行中中点類 12.5%(8分アキ)/25%(4分アキ)※最小でもベタにはしない
- 行頭行末中点類 25%(4分アキ)固定
※中点類に関しては段落先頭の中点類もさわりたいが、ややこしくなるのでデフォルトのママ/必要時に個別設定
※約物が連続する場合は括弧類の前後0%/0%、中黒の前後12.5%/25%、読点の前0%/0%、後25%/50%、句点の前0%、後50%/50%とする。但し同方向は0%
【手順】
まず、基本設定でおおまかに設定しておいて……
さらに詳細設定で個別に設定する(括弧類の外側は大まかに12.5%に設定してから、カギ括弧類のみを25%に変更するといいだろう)。
以下はお好きに
※基本設定では、和/欧文間と和/半角数字(欧文数字)間の設定にモレが発生するので詳細設定の確認が必要
※お判りだと思うが、JIS X 4051は考慮していない。あくまでも私の好みの設定なので、各自の好みあるいは指示によって変更すべき部分
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- 段落字下げなし
- 段落始め括弧類半角
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基本的な部分はこの程度。
※案件毎に異なる場合が多い「段落頭の字下げ及び括弧類」・「行頭括弧類」・「行末句読点・括弧類」それぞれの扱いは、共に「基本設定」を変更すれば大丈夫なハズ。
●最小値の調節=調整可能箇所の増設(HW_At)
さらに「調整量を優先」の特徴を最大限に生かすため(あるいは「ぶら下がり/あり」併用時のバグを誤魔化すため)に、HW_Aをもとに(私の経験上)比較的目立たないと思われる箇所の最小値を−2.5%に調節して調整可能箇所を増設する(HW_At)。
具体的には行頭禁則和字・和字間隔・平仮名・カタカナ・全角数字の前後、括弧類の内側、丸括弧の外側、読点(コンマは除く)の前。(重複する箇所は−5%となる)
つまり、少なくとも行頭禁則和字・和字間隔・平仮名・カタカナ・全角数字・丸括弧は−5%、括弧類・読点は−2.5%の調整可能値をもつことになる。
今回は設定中のキャプチャ画像は上に掲げたモノしか用意していないが、前回のモノを参考に……
前回の画面キャプチャ画像を貼り付けたpdfは
コレ → akiryousettei_HW.pdf 【アイコンをクリック】
●最小値をさらに少なくした設定=調整可能量の増加(HW_Bt)
調整可能箇所が少なくなりがちな行長の短い本文用に調整量をさらに確保するために、HW_Atをもとに、最小値の+部分を半分程度にしたモノを作成した(HW_Bt)。
すなわち
- 行中カギ括弧類 12.5%(8分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
- 行中残りの括弧類 0%(ベタ)/50%(全角ドリ)※最小はベタ
- 行中読点類 12.5%(8分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
- 行中句点類 25%(4分アキ)/50%(全角ドリ)※句点は最小4分アキ
- 行中中点類 0%(ベタ)/25%(4分アキ)※最小はベタ
※−2.5%の調整量は加味してあるが、中点類の最小値はマイナス値にはしていない
●ツメ組み用の設定(HW_Ct)=行中カギ括弧類および句読点類以外は基本的にベタ
本文ツメ組み用に、HW_Btをもとに、
- 最適値がプラス値の部分を最小値と同一(最小値がマイナスの場合は0%)になるように
アレンジを加え、さらに
- 始め括弧類の対「行頭」、終わり括弧類および句読点類の対「行末」の最小値/最適値とも−5%
- 行頭行末中点類の最小値/最適値とも0%(ベタ)
にした設定を作成した(HW_Ct)*3。
※使用フォントによっては最小値のマイナス値部分が少々気に掛かるが、アキが発生する場合には影響しないので……まぁ、サンプルということで……
※この場合も行中カギ括弧類、行中句読点類にはある程度のアキが確保されていることに注意。
これらの設定4種を含むInDesign CS3ファイルは
コレ → HW_akiryo_new.zip 【アイコンをクリック】
- テキスト入りのフレームグリッドを置いてあるので、設定を色々変えて、その挙動の差をご確認願いたい(行長が短いほど差が顕著になるハズ)。
- 以前の記事に取り上げた改行位置をミス判断するバグを回避可能な対行末約物0%(ベタ)の設定は基本設定だけで大丈夫なハズ(私はいまだにその判断を躊躇しているのだが)。
上記バグについては以下参照
InDeaignの改行位置判断の基準_00
InDesignの改行位置判断の基準_お手上げです
前にも書いたが、何であれやってみることが大切。興味のある方は参考にしていただいて、チャレンジ&アレンジすることをオススメしたい。
また、検証は決して十分とは言えないので、オカシナ部分に気付かれた方は、コメント欄なりメールでご指摘いただくと有難い。