なんでやねんDTP・新館

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Illustratorの「繰り返し文字の処理」

Adobe Illustratorの段落パネルメニューには「繰り返し文字の処理」というInDesignにはない項目があり、ヘルプを覗くと以下のように書いてあります。

  • キャプションの(左)と(右)が逆ですね…

赤アンダーラインを引いた前半部分を素直に受け取って、例文を作成してみましたが……

  • ご覧の通り、何の変化も起こりません

気を取り直して、上の画像の赤アンダーライン部分(2文字目)を「繰り返し文字」に置き換え、(効果を観察するために)左右を1文字分短くしてみたのが以下の画像です。

  • うーーーん…「弱い禁則」でも「々」は「行頭禁則文字」となっているので追い出されるだけ…

で、「禁則処理=なし」としてみると……

  • 期待通りの結果ではありますが、読点が行頭にきては困りますね

さらに気を取り直して、「弱い禁則」をカスタマイズして「繰り返し文字」を「行頭禁則文字」から削除したセットを作成し、適用してみました。

何とか使えそうですね。
でも……

  • この効果が適用されるのは「々」だけのようです

何とも中途半端な機能と言うほかありません。
私の場合、Illustratorでは短い文章しか組みませんので、常に「OFF」で運用しています。

※既視感が有ると思っていましたが……
丸っきり同じタイトルの過去記事がありました→ Illustratorの「繰り返し文字の処理」
(自省を込めて、このまま残しておきます)*1

*1:HD内でaiファイルを発見し記事に…念のため、ブログ内も検索したつもりだったのですが…

Illustratorの自動カーニング時の行頭行末揃えは…

すでにこのブログ上で「Illustratorでの箱組にオプティカルカーニングは不適」と題して、Illustratorで「オプティカルカーニング」適用時に行頭行末揃えの組版(自動では)不可能なことは報告済みですが、(追い打ちをかけるようで残念ですが)「自動(メトリクス)カーニング」でも同様な現象が発生しますので報告しておきます。

下の画像のような「和文等幅」を適用した文字列では特に問題ありませんが……

これに「自動(メトリクス)カーニング」を適用すると……

  • 「ナ」が行末をオーバーしているのが目立ちますね
  • 「…」と英字との不自然なアキは「文字組みアキ量設定」では設定できません(この場合、後続の英字にアキが発生するようなので、英字を選択して「文字前のアキ」で調整するしかありません
  • これは小書きの仮名や音引きでも同様です…Illustratorの「文字組みアキ量設定」では対:行頭禁則文字との和欧文間隔を触ることは不可能です

書体を変更してみます……

  • 並びが変わったため、こちらは「ル」の行末オーバーが目立ちます
  • 目立たないだけで、行末と次の行頭の文字のペアにカーニングが設定されていれば不揃いは発生します(先の例も同様ですが…)

理屈は簡単です。下の画像で明らかなように、行末の文字と次の行頭の文字との(ペア)カーニング値が対:行末に残ってしまうからです。

  • 右の丸パーレン内の数値は(ペア)カーニング値(カーソルを文字間に挿入してカーニング窓を確認すると丸パーレン囲みで表示されています)

このように(ペア)カーニングが丁寧に設定されている書体ほど、その影響は大きいことになり、Illustratorの日本語文字組版に関する機能の不憫さを再確認する結果となってしまいました。

回避策としては……オプティカルの場合と同様に)行頭にカーソルを挿入し、カーニング窓の「(0)」となっている部分を「0」と書き換えると行末の飛び出しはなくなります。(この際に「OpenTypeパネル」の「プロポーショナルメトリクス」にチェックが入っていないと、カーソル直前の文字=行末の文字の「プロポーショナルメトリクス」が解除され行末の文字の前後に不自然なアキが発生しますので、手動で調整する場合は必ずチェックをONに!*1

*1:先日の勉強会でデモ中にこの現象に遭遇し少し慌てたのであった…なんのことはない「プロポーショナルメトリクス」にチェックを入れていなかったから…「和文等幅」から順に設定を変更していったからやったかなぁ…

「字送り」という用語について

あちこちのwebページや書籍に「字送り」を文字のセンターからセンターとする誤解を招く図解が氾濫しています*1。確かに写植でいう センター・センター方式 ではそうなのですが、現在のデジタルフォントによる組版では、写植でいうところの トップ・センター方式 と同様に考えるべきです。つまり、文字の頭から次の文字の頭までを「字送り(量)」と理解しましょう*2

  • リンク先に図を交えて詳しく書いたつもりですが、ここにも簡単に説明を加えておきます。

写植 (写真植字)のセンター・センター方式とかトップ・センター方式というのは、印字開始位置の座標に文字の何処を基準に揃えるかを「印字方向(字送り方向)」・「行送り方向」の順に示したもので、トップは「(仮想)ボディの頭」、センターは「(仮想)ボディの中央」を指します*3
つまり、トップは左からの横組みでは「(仮想)ボディの左端」、上からの縦組みでは「(仮想)ボディの上端」となります。
行送り方向は共にセンターですから「(仮想)ボディの中央」固定ということです。
尚、行頭や行末は座標として指定できますが、明確なフレーム様のものは作成しませんので、Illustratorの「ポイントテキスト」をイメージしていただくといいかもしれません。

文章で表せばこれだけなのですが、やや説明不足なので、理解を補うべく以下に関連した図を掲げておきます。



  • 行送りに付している矢印は、「(仮想)ボディの上」だけが行送り値が当該行の下方向に増減するのに対し、他の設定では当該行の上方向に増減することを表したつもりです…「(仮想)ボディの上」以外は1行目の行送り値を変更してもなんら影響はありませんね
  • 文字揃えは他に「平均字面の上・下」がありますが、扱いがややこしいので割愛しました。同書体(もちろんウエイトも)であれば問題ないのですが…
  • Illustratorの行送りの基準位置は「日本語基準の行送り」と「欧文基準の行送り」のみ…それぞれ「(仮想)ボディの上」と「欧文ベースライン」に相当します…なので、縦組みや異級数混植の行送りを正確にコントロールするのはホンマにシンドイです
  • 写植のトップ・センター方式と似ているのは文字揃えが「(仮想)ボディの中央」の場合ということになります


で、主にトラッキングAdobeアプリケーションの和訳では“字送り”ですね)を適用することになるのですが、その単位がよく解らないという声を偶に耳にします。


あの窓に入力する数値は選択している文字サイズ(1em)の1000分の幾らかということです*4。つまり、「500」と入力すれば「+500/1000em」ということになり、「0.5em(半角)分のプラス」になりますし、−100と入力すれば「−100/1000em」となり、「0.1em(全角の1/10)マイナス」することになります*5
当然、選択した文字の後ろが調整され、そこに次の文字の(仮想)ボディの頭が位置することになります。


(「和文等幅」での箱組みの場合は)その行長(テキストフレームなどの幅)は正確に計算しないと、最終行だけが設定通りとなっているという、日常的によく目にする「みっともない組版になるので注意が必要です。
計算式の例をいくつか掲げておきます(なお、指定行長に合わせるトラッキング値の算出方法など、更に詳しい解説はこのブログ内の 「文字組版演算の基本」 をご覧ください)。



  • 文字サイズとトラッキング値から字送り量を算出し、それに(字数−1=字間の数)を掛け、1文字分プラスすると考えればいいでしょう
  • 行末のトラッキング値は吸収されるということの理解が重要です
  • 理屈は考えていただけば理解できるでしょう。もし難しいようでしたらコメント欄に書き込んでください

*1:かなり前になりますが、あるwebフォント関連のページに同様の図解があり、再考を促すメールを送りました…少しは考え直したようなのですが…以下引用>組み方向に向かっての字と字を送る距離(例:任意の並んだ字の仮想ボディ左端から次の字の左端、或は中心から中心)は「字送り*」といいます…この「或は中心から中心」は要らんですよ、誤解のもとですよと言ったつもりなのですがね…*部の注にある「写植機の歯送りが語源です」という記述にも大きな「?」が付きます…

*2:そもそも、センターからセンターなど、どの項目でで設定するのでしょうか? アホなこと言うたらアカン…

*3:同じ位置で印字した場合に文字同士を揃える基準位置と考えてもいいですが…

*4:カーニング値も同じですね

*5:蛇足になりますが、「0」なら1000/1000emで送ることになりますから、「和文等幅」の場合は「ベタ」となりますね

電話マークやお天気マークの書体別一覧

去る7月16日にTwitterにある画像を流しました*1…→ 参照


画像をご覧になれば理由がわかると思いますが、何人かの方が書体名が上に付いているモノと勘違いしておられましたので、(いくつか追加して)改めて7月28日に流したのが以下のようなモノでした。


[:W530]

  • ほぼこのままですが、上のコード表記は入れようとして忘れていました
  • IPAメイリオ・MS・源ノ角ゴシックに関してはTTのためCIDコード表記は無視してください(参考になりません)
  • メーカー毎に比較し、差の顕著なモノについてはリストアップしたつもりです
  • しかし、例えばフォントワークスさんの筑紫シリーズ以前の書体は「筑紫ゴシック」とほぼ同じで、デザイン書体などウエイトにより書体に依っては太さや大きさに差(ユレ)があるなど、細かく言えばもっと分類できるのですが、この程度で……
  • 小塚書体、ヒラギノ書体、游書体などはゴシックと明朝での差はありません
  • モリサワ書体は(確認した範囲では)ほとんど同じでした
  • こぶりなゴシックもヒラギノと同じです(つまり、字游工房SCREENホールディングス
  • ゲタ(〓)部分については、下の方(最後のひとつ前)のツイートをご参照ください


いま使用しているMBPにインストールされている書体の中から選んで確認した範囲でのモノです。


で、直後に@akira1975さんが追加して教えてくださったのが、以下のツイート……

ありがとうございます。*2


私自身の関連ツイートと参考画像を以下に列挙しておきます。

[:W530]

[:W530]

  • デザイン的な面以外では、平均字面に合わせて小振りになっていることにも…



他には、有名なtype.centerさんの「各書体のお天気」というコーナーにもいろんな書体のお天気マークが……

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オマケ(これも何かの参考に…20160801追記

  • イワタさんのは非オールドも同じようです
  • 筑紫Aオールド明朝EのCID16203, U+29BF部分がゲタになっているのは間違い…ほぼ真上のと一緒です

*1:「いいね」と「RT」の数をみれば反響の大きさがわかります…でも私にとっては不思議な現象でした…

*2:「ブログに纏めるほどのことでもない」といいながら纏めていますが……