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私の「文字組みアキ量設定」_1109版_01

記事(及び画像)中で【行末約物】の扱いについて「全角/半角浮動」「全角/半角(浮動)」などと表記してあるものは「状況により全角/半角の二者択一」という意味であり、決して中間値を採るという意味ではありません。私の(用語的な)理解不足による不適切な表記に他なりません。ご寛恕くださいませ。
InDesignの文字組みアキ量設定の基本設定画面の「50%(0%〜50%)」などは「最適/50%、最小/0%、最大/50%」ということで中間値を許容します。しかし、行末設定に現れる「50%/0%」は「最適50%/最小0%」、「0%/50%」は「最適0%/最大50%」の二択で中間値は採りません。
※「〜」の有無で見分ければいいでしょう(もちろん、「固定」は固定)。


さて、以前の私の「文字組みアキ量設定」_1002版という記事から1年半も経過し、ちょっと時間もできていい機会なので、少し設定を変更して新しい「文字組みアキ量設定」を作成し、その手順をなるべく詳細に公開しておくことにする。
「難しい」「煩雑だ」と避けられがちな「文字組みアキ量設定」に悩み苦しむ方のなんらかのヒントになれば幸い。
最終的には(後日)、その設定を使用したInDesignのダウンロードデータを提供する。


作業のおおまかな流れは、まず基本的な設定【HW-J】を作成し、さらにカスタマイズして「禁則調整方式=調整量を優先」適用時により有効に作用する設定、つまり、一部の文字クラスの組み合わせの最小値をマイナスにした設定【HW-Jt】を作成する。
なお、以前に公開した設定から変更する部分はあまりないが、判るように付記しておく(つもり)。


目指すのは以下のような設定
●基本的な設定【HW-J】
【最小値と最適値の調節】
JIS X 4051を(一部)考慮して、以下のように変更する(数字は最小値/最適値)。

  • 行中のカギ括弧類 25%(4分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 行中の残りの括弧類 12.5%(8分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 対:行頭の括弧類 0%(天付き)/0%(天付き)
  • 対:行末の括弧類 0%(半角ドリ)/50%(全角ドリ)※全角/半角浮動
  • 行中の読点類 25%(4分アキ)/50%(全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 行中の句点類 50%(全角ドリ)/50%(全角ドリ)※句点は調整に使用しない
  • 対:行末の句読点類 0%(半角ドリ)/50%(全角ドリ)※全角/半角浮動
  • 行中の中点類 12.5%(8分アキ)/25%(4分アキ・全角ドリ)※最小でもベタにはしない
  • 対:行頭・行末および対:段落先頭の中点類 25%(4分アキ)固定
  • 約物が連続する場合は括弧類の前後 0%/0% 12.5%/50%、中点類の前後12.5%/25%、読点類の前0%/0%、後25%/50%、句点類の前0%、後50%/50%とする。但し同方向は0% ※ここの表現は少し難しい(ややこしい)のだが……あまりいじらない

以前に公開した設定では中点類の対:段落先頭に関してはデフォルトのママ(0%固定)にしていたが、箇条書きなどの頭に使用する場合を考慮して25%(4分アキ)固定とした。
※但し、後続の文字とのアキは(ほぼ)最小値12.5%/最適値25%としてあるので、調整に使用される場合もあることには注意が必要*1
※私はこのような場合には全角ビュレットを使用することにしているので特に問題は無い*2【参照】
※この中点類の対:段落先頭の設定変更が要因となり、「段落1字下げ」の場合の処理が少し煩雑になるという結果を招くことになるが、追って説明する。


【優先度の破棄】
上記の設定では区切りの強度を考えて最小値に変化を持たせているので、不要となった「優先度」のデフォルト設定を、対:行末・行頭および対:段落先頭以外はすべて「なし」にする。。


優先度はツメル場合はイイにしても、どうしてもアキを字間に割り振らなければならない場合にも効いてくることになり、マズイ結果になる場合もあるので設定は避けたい。【参照】
私の理解の範囲では、行頭行末揃え(ジャスティファイ)で行長調整が必要になった場合には、「最小値(ツメ処理)」あるいは「最大値(延ばし処理)」と「最適値」との差の比率に応じて調整量(ツメ量あるいは延ばし量)が割り振られる。但し、延ばし処理にはちょっと厄介なバグがある…【参照】


【和欧文間の間隔の変更】
私の場合は縦組みが多いので以下の様な設定を基本としている。参考程度に……

  • 和文と欧字(アルファベット)の間隔 12.5%
  • 和文と欧数字の間隔 0%

※お判りだと思うが、JIS X 4051は特に考慮していない。あくまでも私の好みの設定なので、各自の好みあるいは指示によって変更すべき部分。

                • -

ということで、デフォルトで用意されている設定の中から最終目的に近い「行末受け約物全角/半角」を元に、調整の優先度を対:行末・行頭および対:段落先頭以外を「なし」にし、(主に)最小値と(一部の)最適値を調節していく(最大値はデフォルトのママ)。


まず「文字組みアキ量設定」パネルで、元とするセット「行末受け約物全角/半角」を選択した後、新規ボタンをクリックして名前を「HW-J」とする。



この基本設定パネルで適用可能なデフォルトで用意されている設定(の意味・内容)は、たとえば以下のように変更して、詳細設定を確認すればだいたいの見当は付くハズ。


  • 行中の「始め括弧類」「終わり括弧類」を50%固定(全角ドリ)に変更

  • 上の画像、下の画像ともに最小値が50%に変更されている

  • ここで気づくべきなのは、「平仮名〜全角数字の部分のみ」が変更されているということ。基本設定を変更するだけではモレがあるので、必ず詳細設定を確認し補ってやらなければいけない。
  • 但し、行末の「50%/0%」などのようにスラッシュ(/)で区切られた設定は基本設定でしか無理(らしい)。この場合の意味は「最小値0%/最適値50%」で中間値は採らない(らしい。基本的には全角ドリ、ツメ処理が必要な場合は半角ドリということ)。


例えば以下の様に変更してみると……


  • 行末の終わり括弧類を「0%/50%」に変更

  • 最適値が「50%」から「0%」に変更された(基本的には半角ドリ、延ばし処理が必要な場合は全角ドリということ)が……中間値を採らないかどうかはこれだけでは不明……


で、先の最終的な形に近い設定をここでは選択しておくことにする。
【暫定的な基本設定】

  • 設定当初はこのような表示になるが、いちど「詳細設定」画面にしてから戻ると……

  • 和欧文間隔は設定を反映して「混在」となる


次回は、この状態からまずは「前の文字クラス=変更する約物」の詳細設定から、その設定変更を検討していく。
※以下、「後ろの文字クラス=変更する約物」、「和欧文間設定」……、「最小値をマイナスにした設定(HW-Jt)」と続けるつもり……。


以下、文中に【参考】として掲げた他の当ブログ内(主な)関連ページ*3
「文字組みアキ量設定」カスタマイズ時に考慮すべきこと
「文字組みアキ量設定」の一覧

*1:これは同様の設定をしてある対:行頭・行末にもあてはまること

*2:これがデフォルトのママにしていた主たる要因でもある

*3:書き散らかしているので、左上の検索窓に「文字組みアキ量設定」と入れればかなりの数がヒットするハズ