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Illustratorの「約物半角」のバグ

Illustratorにプリセットされている「文字組みアキ量設定」のひとつ「約物半角」ですが、その名称に反して中点類が全角扱いになっています。これは皆さんお気づきのことでしょうし、簡単に変更できますね。
加えて、もひとつのバグおかしな挙動を見つけてしまいました。ここでは、それを再現し回避方法をご紹介します。
こう書き出してはいますが、結局は優先度の問題です…少し勘違いして気付かなかったことをお詫びします。(この部分2014.08.05追記


以下は、プリセットの「約物半角」を適用した状態です(カーニングは「和文等幅」)。


  • ご覧のように「約物半角」という名称に反して、中点類は全角取りが基本となっています

(アキ量設定は別窓で→ 約物半角


この段階では今回ご紹介しようとしているバグは未だ顕在化していません。
約物半角」の本来の使用目的(?)であると考えられる「自動カーニング」を適用してみましょう。


  • 読点の後ろには行長調整処理のためのアキが挿入されていますが、句点の後には挿入されていません
  • 他の例文でも試しましたが、優先度云々の問題ではないと考えられます(追記:この部分、後述の挙動から確信はもてません)。たとえそうであっても、その間違った「優先度」をカスタマイズする術はありません

この部分はやはり「優先度」が適用された結果であるようです。ただ、その「句点」の優先度が漢字や仮名と同じレベルにあるため、他の約物類の「最大値」を使い切った後で、最後に漢字や仮名と同時に割り振られるために最大値=50%のすべてが生きてくることは稀ということになります。
ですから、「バグ」といってしまうには語弊がありますので撤回します。但し、全体を書き直すのも苦労しますので、ここのところをご理解の上読み進めてください。(2014.07.01追記


句点の後にアキが割り振られていないのを確認することができます。上記の「文字組みアキ量設定」のリンクを開いていただくとわかりますが、読点も句点も全く同じ設定「最大値=50%」となっているのに! ということです。


では、アチコチのサイトで紹介されている「アキを挿入」で前後とも「ベタ」にする安易な方法を適用してみましょう。


  • 欧文部分も含めて全体に行長調整処理のためのアキが割り振られています
  • この方法を「行末約物半角」などに適用するおバカな設定もよく見られます


本来この機能は、ある特定の部分に対して「文字組みアキ量設定」で設定されているアキ量(=自動)を一時的に解除・否定して、一定のアキ量を強制的に割り当てる際に使用すべきモノだと考えています。
酷いモノでは、基本的にベタ組みの文字列に、「約物前後のアキを均等にする(削除する)」としてこの機能を使用することを推奨するサイトもありますが、ベタ組の意味やその適用結果を考えようともしないおバカで安易な手法だと断罪せざるを得ません。

  • 蛇足になりますが、InDesignではこのような設定をすると「行頭行末揃え」は効きません(それが本来の挙動であろうとも思います)。
  • 追記:コメント欄でご指摘がありました通り、行頭行末揃えにする必要のないツメ組みでは「アリ」かも知れません(「文字組みアキ量設定」そのものがあまり意味を持ちませんね)。


(気を取り直して…)
ここで、プリセットの「約物半角」を少々カスタマイズして「中点類もベタ」になるように設定した「文字組みアキ量設定」を適用してみましょう。


  • 均等に行長調整処理のためのアキ量が割り振られるようになりました
  • 追記この挙動をみると、やはり優先度が絡んでいるのかも知れません(部分的なカスタマイズで優先度が破棄されるのは実証済みです)→ 参照
  • 欧文部分は大丈夫ですね

ごく簡単なカスタマイズの副産物として、このように回避できるのです。
(アキ量設定は別窓で→ 約物半角+中点類もね


さらにもう少し踏み込んで、特殊なカスタマイズを施した設定(3種類)を適用してみましょう。


  • これらの設定では「和欧文間隔=0%」としてあります

(アキ量設定は別窓で→ ツメ組み用設定一覧


これらの設定は、すべての最小値最適値を「0%」とはせずに、一部の約物にはある程度のアキ量を残し、約物の役割の強度に応じてレベルを設けたモノで、それを行長(調整箇所の多寡)に応じて使い分けることができるように3種類作成してあります(私は、たとえツメ組みであっても、約物類にはある程度のアキがある方がベターだと考えていますから…本文系ね…)。


ご興味を持たれた方は、【ココ】をクリックして「+designing」さんのページからダウンロードしてみてください。勿論、そのまま使用してくださっても結構なのですが、是非それらを参考に、自らの理想とする「文字組みアキ量設定」のカスタマイズにチャレンジしてみてください。