JIS例示字形変更と字形セット_08
さて、前回残した83JISで変更されたママの「表外漢字字体表」以外の「表外漢字」65字を再掲する。
欝廠鱈凋菟塘鴇噸迩兔冉冕唹唳堋媾寃悗捩搆枦枴梛梍湮爨珎甄甍硼稱龝箙粐粮綛綮綟舮芍苒茣荵蔗螂蟒褊覯諞譁跚踉輓遘邉扈釁霤靠頤鬮鮗鯲麪龜
(黄色地は置換字形)。
これらを漢字源(改訂第4版,学習研究社,2007)と新字源(第315版,角川書店,1991)の親字(見出し文字)を元に考えてみた。
漢字源は最新版で、「表外漢字字体表」「2004JIS」をも考慮したものであるのに対し、一方の新字源は発行年が古く、発行後に人名漢字が追加されたり、「表外漢字字体表」が発表されたりしているといった違いを頭に置いておかなくてはならない。
それぞれ一致すると思われるモノには赤●(漢字源)と青●(新字源)を付したうえで、これを使用するのがいいのだろうと私なりに判断した部分に緑色地を敷いてみた。
以下簡単に……
欝(面区点1-17-21)
漢字源では標準字形(1239)、78(Expt)字形(7639)ともに「鬱」(印刷標準字体、5532)の異体字。
新字源では5532の異体字(俗字)として7639のみ。
迩(面区点1-38-86)
漢字源では1点(3278)、新字源では2点(7872)でともに「邇」(印刷標準字体、6893)の異体字(俗字)。
兔(面区点1-49-29)
漢字源では標準字形(4212)、78(Expt)字形(7814)ともに「兎」(04人名〈04JIS変更〉、13949)の異体字。
新字源では13949が俗字扱いで親字としては7814。
唹(面区点1-51-16)
漢字源のみで、新字源には記載無し。
唳(面区点1-51-26)
双方とも親字は下のモノ(14113)
寃(面区点1-53-67)
漢字源では標準字形(4626)は「冤」(印刷標準字体、7817)の異体字。
新字源では7817の異体字として下の字形(14121※漢字源にも)。
悗(面区点1-56-04)
漢字源のみで、新字源には記載無し。
枦(面区点1-59-37)
漢字源では標準字形(5160)を櫨(3387)の異体字とし、地名に使うとある。
新字源には記載無し。
枴(面区点1-59-42)
漢字源のみで、新字源には記載無し。
梛(面区点1-59-42、04人名追加)
新字源では78(Expt)字形(7835)だが04人名追加なので標準字形(5198)で。
梍(面区点1-59-84)
漢字源のみで、新字源には記載無し。
珎(面区点1-64-63)
珍(常用)の異体字(俗字)。78(Expt)字形(7840)は双方に。
甍(面区点1-65-16)
双方とも親字は下に作ったような文字、漢字源のみ標準(Expt)字形(5703)をその異体字と記載。
稱(面区点1-64-63)
称(常用)の異体字(旧字)。
龝(面区点1-67-52)
秋(常用)の異体字(古字)。標準字形(5927)は双方に
粐(面区点1-68-68)
漢字源のみに標準字形(6037)を国字として記載。
粮(面区点1-68-78)
糧(常用)の異体字(俗字)。
舮(面区点1-71-68)
漢字源のみに標準字形(6319)を艫の異体字として記載。
茣(面区点1-72-20)
漢字源のみで、新字源には記載無し。
螂(面区点1-74-07)
漢字源のみで、新字源には記載無し。
跚(面区点1-76-73)
新字源にも標準字形(6794)とよく似たものが記載されているが、旁の横角が突き抜けていない。
邉(面区点1-78-21)
漢字源に辺(常用)の異体字として記載。字形パレットを確認すると24字も……。
靠(面区点1-80-49)
漢字源は「告」部のタテ棒が突き抜けない78(Expt)字形(7879)、新字源では突き抜けている標準字形(7146)。
頤(面区点1-80-85)
漢字源は78字形(7881)を親字とし標準字形(7182)は異体字。
新字源では7182を親字とし7881は記載無し。
鯲(面区点1-82-46)
漢字源のみに標準字形(7331)を国字として記載。
麪(面区点1-83-49)
漢字源は標準字形(7428)、78(Expt)字形(7885)ともに麺(印刷標準字体、7797)の異体字。
新字源では7885を親字とし7797を異体字(俗字)としている。
龜(面区点1-83-93)
双方とも亀(人名)の異体字(旧字)としていて、微妙に差があるが標準字形に近い。
こうなってくると、常用・人名漢字以外は「いわゆる康煕字典体」を使用することを基本とする場合には、InDesign CS2で「印刷標準字形」を指定可能なAdobe-Japan1-5以上準拠の書体でも、Expt字形を採用した方がラクなのかもしれないなぁ……と思ったり、八屋根・筆押さえはどうしたらいいのかなぁ……エライとこまで来てしまったなぁ……と途方にくれてしまう。
疲れたので、今回はここまで。