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行送り値の計算・指定

InDesignでは以下で示すように4種類の「行送りの基準位置」が用意されており、Illustratorでも「日本語基準の行送り」あるいは「欧文基準の行送り」が設定できる。
一般的にどういう指定方法が採用されているか知らないが……
下の例に挙げたような段落毎に文字サイズが異なる場合は、「行送りの基準位置」の設定によって行送りの値が異なるのは当然のこと。
だからこそ、行送り値とともに行送りの基準位置も指定しなければ意味がない
もしそれができないのであれば、潔く行間のアキを指定して実作業者に任せるしかない。


以下にその計算方法を例示しておく。
(なお、画像はいずれも行間アキなし=ベタの状態)



●行送りの基準位置=仮想ボディの上(Illustratorでは「日本語基準の行送り」)
当該行の(最大)文字サイズに次行との間に必要なアキをプラスした値が行送り値となる
これだけ次行との間

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●行送りの基準位置=仮想ボディの中央
当該行の文字サイズと前行の文字サイズの和の1/2前行との間に必要なアキをプラスした値が行送り値となる

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●行送りの基準位置=欧文ベースライン(Illustratorでは「欧文基準の行送り」)
(一般的な和文フォントは仮想ボディの下端から120/1000の位置に欧文ベースラインが設定されているので)
当該行の文字サイズの88%と前行の文字サイズの12%の和前行との間に必要なアキをプラスした値が行送り値となる
できれば使用しない方が無難だが、Illustratorでは……

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●行送りの基準位置=仮想ボディの下
当該行の(最大)文字サイズに前行との間に必要なアキをプラスした値が行送り値となる*1


※もちろんどの場合も、実作業としては段落前後のアキを使用しても仕上がりに変わりはない。もし行間アキが一定である場合なら、この方法がより効率的であるのは理解できよう。


蛇足ながら……
活版の時代は行間アキを、行送り設定が文字のセンターからセンターで固定されていた写植では行送り(あるいは行間アキ:この場合はオペレーターが計算する)で指定するのが一般的であった。


これまた蛇足になるが、基本となる(全体の)行送りが一定で、一部分のみそれを変更する必要があり、かつ全体は基本行送りの整数倍でなければならないような場合、行送りの基準位置は「仮想ボディの中央」としておくのが一番計算がしやすい。合計を基本となる行送りの倍数にすればイイのだから……(20110804追記

*1:この場合も1行目は適当でよい