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「アンカー付きオブジェクト」の「カスタム」設定_その2

以前のアンカー付きオブジェクトの記事から少し間が開いてしまいましたが、続きを書く余裕が出来ましたので纏めておきます。
※前回は主に「X方向(字送り方向)」について記しましたので、今回は「Y方向(行送り方向)」について……

まず、おさらいとして……
インラインでアンカー付きオブジェクトを配置(つまりコピー&ペースト)した場合は、以下のようになります。

  • 赤い「困」は単純に文字サイズを30Qにしただけです
  • 大きい方は天地左右7.5mm(30Q相当)の四角いオブジェクトと直径7mmの円をグループ化してあります(以下同)
  • 簡単に言えば、(仮想)ボディと字形(グリフ)のような関係にしてあるということ(つまり、挿入後の隣の文字とのアキも予め含めてあるということ:ブルー部分はシロと考えてくださいね)
  • あくまでもテキストフレームです(レイアウトグリッドは目安として表示してあります)

上の画像を観察すると、文字サイズより大きなオブジェクトをアンカー付きオブジェクトとしてペーストした場合の挙動は、文字サイズを変更した場合と同じなのがわかりますね。
なので、(段落書式などの際に何度となく言及しているように)「行送りの基準位置」と「文字揃え」を同様の設定にしておくことでコントロールが容易になることがお判りいただけるでしょう。
また、放り込む部分の文字サイズより小さいオブジェクトを挿入する場合は、文字サイズと同じサイズのオブジェクトとの間で位置を調整し、それをグループ化した後に放り込むと、「オフセット」の調整に苦労することも回避できます。

【ここからが本題】
そのようにして放り込んだアンカー付きオブジェクト(画像左)の「親文字からの間隔」で「カスタム」を選択すると、デフォルトでは画像右のようになります。*1

  • 1行目には改行が入っており、その直後の行頭にアンカー付きオブジェクトを挿入してあります…
  • 右の状態が「カスタム」を選択した直後の状態…そのデフォルト値:「Y基準」の「行(ベースライン)」という設定は、少し危険なので注意が必要ですが、最後の方で紹介します
  • これ以降の画像に関しては、正しくは「1段(行)9字」ですが…特に影響はありませんのでご容赦願います

この状態から、「アンカー付きオブジェクトの基準点(赤丸部分)」と「アンカー付き位置のY基準(赤ライン部分)」とをそれぞれ変更した結果は、以下のようになります。


  • つまり、「アンカー付きオブジェクトの基準点」「アンカー付き位置のY基準」を(仮想)ボディを基準に同様に揃えておけば、イメージ通りの位置に配置されるということ

「Y基準」の選択肢は他にもありますが、(日本語組版で)挿入位置(アンカーマーカー)との関係を重要視する場合にはこの三者択一となり、他の選択肢を採ることはほぼ皆無でしょう。*2

このような(カスタム)アンカー付きオブジェクトの「Y方向」の挙動さえ把握・理解しておけば、(もし必要があったとしても)オフセット調整もほんの少しで済み、自由にその位置をコントロールできるハズです。

例えば、「段の上下境界線内に収める」のチェックを外してちょっと工夫すれば…

  • アンカーマーカー直後には全角スペース(左右150%)を挿入
  • この場合、Y基準の「行(ベースライン)」は「仮想ボディの下」にした方がベターですね(後述)

(上の画像右のように)フレームの1行目に意図通りに挿入することも可能です*3し、アンカー付きオブジェクトを挿入した段落に対して「行取り」を設定したり…*4 アンカー付きオブジェクトに「回り込み」を設定する*5ことも可能です。

最後に…「少し危険なので注意が必要」とした「Y基準」の「行(ベースライン)」という選択肢については、以下の画像を参照くださればご理解いただけるかと思います。

  • つまり、行中により大きいサイズの文字があるとその文字に影響される…

級数混植の際には要注意ということです*6

●補足(公開当日に追記)
理解が難しくなる話しがややこしくなるので触れないでおくつもりだったのですが…検証中に以下のような、相反する結果が現れたことを報告しておきます。

  • 上下とも左右それぞれの設定は同じ…が、後続の文字サイズに影響を受ける場合(左)と受けない場合(右)が現出
  • 左:折り返し改行位置にかかるように文字サイズを変更
  • 右:行中の文字サイズを変更した後、その部分が改行位置にかかるように(その前に)文字を追加
  • 共に、アンカー付きオブジェクトを挿入・カスタム設定後に文字サイズを変更

文字揃えも同様に「上なら上、下なら下」としてあれば特に影響はありませんが*7、このような挙動を知ると、「(仮想)ボディの中央」を基準に揃えるのが最も無難である…といえますね。
何故なら「(仮想)ボディの中央」は文字サイズに関係なく一定ですから。

*1:特に触った記憶がないので工場出荷時のデフォルトだとは思いますが、もし違っていたらすみません…

*2:但し、テキストフレームの下に揃えたいとか、ページや版面を基準にしたい場合は「テキストフレーム」「ページマージン」「ページ枠」の使用が有効なのは言うまでもありませんね

*3:大きいからといって、フレームグリッドで2行取りになってしまうこともありません

*4:以下の二つはフレームグリッド使用

*5:後続の段落に対しての設定となります…挿入した段落やそれ以前の段落に対しては無効

*6:理屈から考えれば英数字のみ文字サイズを大きくしている場合なども同様…微々たるモノですが…

*7:作例の文字揃えは「中央」