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Illustratorでの文字組_その2_「行送り」と「文字揃え」

Adobe Illustratorというアプリは長文の日本語文字組版に使用すべきではない」という認識を前提として、それでも使わざるを得ない環境に居られる方に向けて、イランお節介みたいな記事を何回かに分けて掲載するつもり。あくまでも私個人の主観的な意見でしかないが、何かの参考になれば嬉しい。

Illustratorでの文字組_その2_「行送り」と「文字揃え」
Adobe Illustratorを使用した日本語文字組版で、意外とややこしい行送りと文字揃えの挙動を確認しておく。


以前に同様なInDesignの例も書いたが,行送りの基準位置の種類が多くて判り難いモノになってしまった感がある。その点,Illustratorの場合は2種類だけなので比較的判りやすいハズ。



まず,上のような文字組みを用意し,「文字組版」の部分を24Q/「仮名」部分を12Qに変更し,2種の行送りの基準に対して文字揃えを各種適用してみたのが以下……


欧文基準の行送りの場合



日本語基準の行送りの場合



見ていただけば判るが,行送りにおいては「欧文基準の行送り」はそのネーミング通り欧文ベースラインを基準に送られ,「日本語基準の行送り」では仮想ボディの上を基準に送られており,行中の文字サイズが異なる場合には,その最大サイズが基準となる。
文字揃えにおいても同様,揃える基準は最大の文字サイズ


(行送りが固定された)横組みで行中の文字サイズが異なる場合は「日本語基準の行送り」を採用するのは避けた方がコントロールし易いだろう。
別のケース,例えば行毎の文字サイズが異なっていて,行送りを行間のアキでコントロールする場合は「日本語基準の行送り」の方がベター(後日,別記事にて)。
(上記※部分,少し追記 100611)


なお,行送りは行中の文字ごとに設定可能だが,行中の最大値が適用され,「欧文基準の行送り」では行の前アキが,「日本語基準の行送り」は仮想ボディの上を基準にしているので,行の後ろアキが変更される。


以下は「文字組版」部分を行送り24Hから30Hに変更した例。



また,タテ組の場合は日本語基準の行送り固定となり,行の後ろアキが変更される。
以下は横組みの「欧文基準の行送り・文字揃え=中央」のモノをタテ組に変更した例(パネルは合成)。



以前にも書いたことだが,組方向を変更した場合は「文字揃え=中央」は解除され「欧文ベースライン」となるので,注意が必要*1


※文字揃えには他に二つ,「平均字面の上/右」・「平均字面の下/左」というのがあり,例のような行中に異なる文字サイズが混在する場合に「仮想ボディ」を基準に揃えるよりもオススメだが,煩雑になるので割愛した。
詳しくは以前の記事=横組みでの文字揃えの選択をご参照あれ(当該記事はInDesignでの例だが理屈・考え方は同じハズ)。

*1:文字サイズの差が小さい場合には見落としやすい_実体験者談=本人