「簒」の字体…
twitter上でのやりとりで、ある方の
“「簒奪」の「簒」を正字にという指定があり、これも難儀しました。しかしこれ、奇妙な字ですよね。明らかに1画多いと思います”
という呟きが気になりちょっと調べてみた。
手元の辞書類では上に示した通り、JISの例示字形より1画少ない字体が正字とされている例が多いが、JISでは符号化されていない*1。
グリフウィキを覗いてみると、ユニコードでは「原規格分離」ということで U+7BE1 に収録されている。
が、Adobe-Japan1でも別に字形が登録されているわけでもなく、たしかに難儀するだろう。
ネット上で古い辞書を探してみても、大正11年の(改修)言泉(左)では1画多い方の字体、昭和28年の修訂 大日本国語辞典 新装版(右)では正字……
昭和46年の大日本印刷の「9ポイント明朝体活字一覧」では正字が……。
なんでこうなってしまったのか……ふと、写研は? と思って調べてみると81年以前(右:LM)も81年以後(左:LHM)も同じで1画多い字体となっている。
コイツが犯人か? と思ってしまうが、字体・字形については(JISの方から)何らかの指示があってしかるべきだろう……と思う。
素人なので……こんな程度で……
●以下に、twitter上でのやりとりを掲出しておきます(編集中の暫定的なモノです)。
●以下に参考画像を3点追加しておきます。
コメント欄で koikekaishoさんご指摘のJIS X0208: 1997の包摂基準の詳細 「d)点画の増減の違い―点・画の増減」欄
- 左から包摂する部分字体/区点位置の例(参考)/連番
- 冒頭に備考として「3. 次に示す包摂基準の字体は,どれか一つが他に優先するものではない。」とある。
- JIS漢字字典, 芝野耕司編著, 1997, 財団法人 日本規格協会 より
コメント欄で 森 洋介さんご指摘の『明朝体活字字形一覧』374頁に掲載の字形
- 時期は不明(文字配列一覧的な印刷物)
- 「写植の時代」展パンフレットより
*1:右から二つ目は『新字源』、明らかにバランスが悪い……